過去ログ - ビッチ
1- 20
194:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/27(木) 00:25:15.52 ID:Ni0AA1zQo

 父さんがシャワーを浴びている間に寿司屋が出前を届けに来た。明日香が珍しくつまみ
を用意すると言い張ってキッチンに閉じこもってしまっていたので、僕が寿司桶を受け取
りに行った。

「奈緒人、あんたが受け取っておいで」

 もうすっかり呼び捨てに慣れたらしい叔母さんからお金を受け取った僕は玄関でいつも
のお寿司屋さんから寿司桶を受け取ってびっくりした。

 これっていったい何人前なんだ。

 明日香は叔母さんに対しては好きなだけ甘えられるのだろう。二万円札を出して小銭の
お釣りを受け取った僕はそう思ったけど、今では僕もその仲間なのだ。

 僕はリビングのテーブルの上に寿司を置いた。

「お〜。相変わらず人の奢りだと明日香は遠慮しないな」

「父さんが帰ってこなければ絶対余ってたよね、これ」

「うん。ちょうどよかったじゃん。たまには明日香もいいことをするな」

 明日香がサラミとかチーズとかクラッカーとかを乗せた大きな皿をキッチンから運んで
きた。こういう甲斐甲斐しい妹を見るのは初めてだったけど、それよりも明日香が運んで
きたオードブルらしきものは母さんがよく用意していたものと同じだった。

 母さんの真似をしているだけといえばそれだけのことだけど、中学生のくせにどうしよ
うもないビッチだと思っていた妹を僕は少し見直していた。

 意外とこいつって家庭的だったんだ。

「お兄ちゃん、何見てるのよ」

 明日香が不思議そうに聞いた。

「あんたのこと見直してるんでしょ。意外と僕の妹って家庭的だったんだなあって」

「叔母さん・・・・・・」

「よしてよ。気持悪いから」

 明日香は赤くなって、でも僕の方は見ずに叔母さんに向かって文句を言った。それは決
して機嫌の悪そうな口調ではなかった。

「さっぱりしたよ。お、豪華な寿司だな。つまみまでちゃんとあるし」

 父さんがシャワーから出て着替えてリビングに入ってきた。

「そのオードブル、明日香が作ったんだって」

 叔母さんがからかうように言った。

「パパ、どう? ママが作ったみたいでしょ」

 そう言えば明日香は昔から実の親である母さんより父さんの方が好きみたいだったな。

 僕はぼんやりと考えた。

 そしてさっき感じた幸福感はまだ僕の中に留まっていた。母さんがいないのは残念だけ
どこれは久しぶりの家族団らんだった。今度会った時にナオにもこの話をしよう。

「それ結城さんに作ってあげたの? それとも奈緒人に?」

 叔母さんがからかった。

「うるさいなあ。酔っ払いの叔母さん用に作ったんだよ」

「よくできてるよ。ありがとう明日香」

「どういたしましてパパ・・・・・・お兄ちゃん?」

「奈緒人」

 父さんが僕の方を見て笑った。

「うん。うまそう」

 とりあえず僕は当たり障りなく誉めた。

 明日香はまた赤くなった。そんな明日香を見て父さんと叔母さんが笑った。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/1204.35 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice