過去ログ - ビッチ
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203:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/28(金) 00:13:22.13 ID:xVnL1g9Mo

「じゃあ明日は食材とか買い込んでおかないとね」

 あたしは言った。

「ママからお金貰ってるか」

 パパが心配そうに言った。このとき少しだけあたしの心が痛んだ。

「うん。お金は大丈夫だけど、いっぱい買い込むからあたし一人で持てるかなあ」

「どんだけ買うつもりだよ」

 叔母さんがあたしをからかった。

「そうだ。叔母さん一緒に買物に行ってよ。明日日曜日じゃん」

「アホ。あたしは明日から会社に泊まりこみで校正地獄だわ」

「どうしようかなあ」

 あたしは呟いた。

「明日は予定ないし荷物持ちくらいなら僕でもできるかも」

 小さな声で兄貴がぼそぼそと言った。あたしには兄貴の心の中が良く理解できた。こん
なことを言ったらまたあたしにキモイとか罵倒されることを警戒しているのだ。そして兄
貴をそんなに卑屈にしてしまった責任はあたしにあった。

「じゃあ手伝ってよ。兄貴だって食べるんだから」

 あたしは強気で言った。

「いいよ」

 兄貴がそう言うと、どういうわけかパパと玲子叔母さんは目を合わせて微笑みあった。
思ったとおりの展開だったけどあたしは少しむかついた。パパが微笑む相手はママとあた
しだけのはずなのに。

 玲子叔母さんのことは大好きだっただけにあたしは自分の気持に戸惑いを感じた。

「ちょっとトイレ」

 あたしは席を立った。話題は再びあたしの食材調達から逸れていて、編集者業界裏話み
たいな話に変わっているようだった。そして兄貴もその話題を楽しそうに聞いていた。





「遅い時間にごめんね。明日香です」

「うん。知ってる。さっき兄貴にメールが届いてたし。今さ、久しぶりに家族で盛り上がってるんで
兄貴から返信がなくても悪く思わないでね」

「・・・・・・気なんか遣ってないって。それよかさ、ユキちゃんって明日は何か予定あるの?
 ピアノのレッスンは日曜はないんでしょ」

「明日あたし兄貴と一緒に買い物に出かけるんだけど、よかったらユキちゃんも来ない?
 一緒にお茶とかして兄貴とも一緒にお話ししない?」

「え、だめ? ああそれはないよ。兄貴は明日は奈緒ちゃんとは約束ないみたい」

「奈緒ちゃんに悪いって、そんなに難しく考えないでよ。あたしがユキちゃんと仲良くな
りたいだけなのに」

「うん、もちろん。買物して少しお茶するだけよ。いいの? やった」

「じゃあ多分十時ごろだと思うけど、また電話するね」

「兄貴が迷惑? そんな訳ないじゃん。あたしは兄貴のことなら知ってるって言ったでし
ょ。ユキちゃんと会えるなんて兄貴は大喜びだと思うよ」

「よかった。じゃあ明日電話するから。うん。おやすみさない」

 あたしがリビングに戻ると叔母さんが声をかけてきた。

「何だよ。随分長いトイレだったな。生理?」

 それを聞いてパパとお兄ちゃんが申し合わせたようにあたしから目を逸らした。


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