過去ログ - ビッチ
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213:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/29(土) 00:10:17.55 ID:0rMHkqmno

 その夜の騒ぎは日付を越えるまで続いた。母さんがいたら間違いなく十時過ぎには子ど
もたちは退場を言い渡されていたと思うけど、この夜は父さんも叔母さんも心底楽しそう
にしていて僕と明日香を早く寝かせようとは考えつかなかったみたいだった。

 そのことをいいことに僕も明日香もこの場に居座って父さんと玲子叔母さんの会話を聞
いたり、時折話に混じったりしていた。

 僕にとっては本当に久しぶりに貴重な時間だった。そして僕の隣に座っていた明日香も
以前のようにひねれることなく父さんや叔母さんに素直に笑いかけていた。

 多分この場に母さんがいなかったせいだろう。明日香は父さんや叔母さんに対しては、
いつもといわけではないけどだいたいは素直に振る舞っていたのだから。

 それより僕を驚かせそして本当にくつろがせてくれたのは、明日香が僕の話に噛み付い
たりせず普通に反応してくれたことだった。最近の明日香は本人が宣言したとおりいい妹
になろうとしてくれていたみたいだけど、僕はその態度を心底から信用したわけではなか
った。

 いい妹になるとか僕が好きだという明日香の宣言は二重三重の罠かもしれない。僕は戸
惑いながらも密かに警戒していたのだった。

 でもこの夜の団欒の席の明日香の楽しそうな態度はすごく自然でリラックスしていたも
のだった。父さんや叔母さんに対してだけではなく、僕に対しても普通に楽しそうに笑っ
て受け答えしてくれている。

 僕はいつのまにか妹に対する警戒を忘れ、僕たちは仲のいい兄妹の会話ができていたみ
たいだった。そして僕と明日香が穏やかな会話を交わすたびに、父さんと叔母さんは嬉し
そうに目を合わせて微笑みあっていた。

 心穏やかな時間はまだ続いていたのだけど、僕にとっては今日はいろいろ忙しく疲れた
一日だった。ナオを迎えに行きはじめてナオと心がすれ違ったり、仲直りしたり。叔母さんと
もまた昔のように仲良くなったり。

 楽しかったけどいろいろ疲れてもいたのだろう。僕は父さんたちの会話を聞きながらう
っかりうとうとしてしまったようだった。

 一瞬、転寝した自分の体が揺れて倒れかかったことに気がついて僕は目を覚まして体を
起こそうとした。

「いいよ。そのままで」
 明日香の湿ったようなでも優しい声が僕の耳元で響いた。「お兄ちゃん疲れたんでしょ。
そのままあたしに寄りかかっていいから」

 僕は妹の肩に体重を預けながら寝てしまっていたみたいだった。体を起こそうとした僕
の肩を手で押さえながら明日香が続けた。

「このまま少し休んでなよ」

 僕はその時何とか起きようとはしたけれど、結局疲労と眠気には勝てずにそのまま目を
閉じた。


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