214:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/29(土) 00:12:27.81 ID:0rMHkqmno
しばらくして僕は目を覚ました。寝ている間中、夢の中で柔らかな会話が音楽のように
意識の底に響いていたようだった。僕は体を動かさないようにして、何とか視線だけを明
日香の方に向けた。明日香は軽い寝息をたてて目をつぶっている。僕と明日香はお互いに
寄りかかりながらソファに腰かけたままで眠ってしまっていたのだった。
そろそろ明日香を起こして自分も起きた方がいい。そして静かに会話を続けている父さ
んと叔母さんにお休みを言おう。そう思ったけど明日香の柔らかい肩の感触が心地よく居
心地がよかったため、僕は再び目を閉じてしばらくの間半分寝ているような状態のままじ
っとしていた。
そうしているとさっきまで心地よい音楽のようだった会話が意味を持って意識の中に割
り込んできた。僕は半分寝ながらもその会話に耳を傾けた。
「二人とも寝ちゃったか」
「起こして部屋に行かせた方がいいかな」
「よく寝てるしもう少しこのままにしてあげたら? 明日香と奈緒人のこんな仲のいい姿
を見るなんて何年ぶりだろ」
「そうだな。最近二人の仲が昔のように戻ったみたいなんだ。玲子ちゃんのおかげかな」
「あたしは関係ないですよ。でもこうして見ると本当に仲のいい兄妹だよね」
「うん。最近、明日香は妙に素直なんだよな」
「明日香は昔から結城さんには素直だったじゃない。本当の父親よりも結城さんの方に懐
いていたし」
「そんなこともないよ。それに最近母親にも素直だからあいつも喜んでる」
「姉さんはちょっと気にし過ぎなんだよね」
「それだけ気を遣ってるんだよ、子どもたちに」
「・・・・・・全く結城さんは姉さんに甘過ぎだよ。それは一度はお互いに諦めた幼馴染同士で
奇跡的に結ばれたんだから結城さんの気持ちはわかるけどさ」
「おい・・・・・・玲子ちゃん」
「大丈夫。二人ともよく寝てるみたいだから。よほど楽しかったんだろうね」
「子どもたちには悪いと思っているよ」
「真面目な話だけどさ、結城さん編集長なんだからもう少し部下に仕事任せて家に帰るよ
うにしなよ。うちのキャップなんてあたしの半分も社にいないよ」
「うちもあいつの社も零細な出版社だからね。玲子ちゃんとこみたいな大手みたいにはい
かないよ」
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