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321:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/12(金) 00:14:16.43 ID:s/mXof6Yo

「さすがに不審に思った幼稚園の関係者と近所の人たちが児童相談所に通報したらしいの。
児童相談所の人たちは、散らかった家で食事もせずお風呂にも入らないで数日間過ごして
いた様子のあんたと奈緒ちゃんを一時保護して児童相談所に連れて行った」

「相談所から結城さんの会社を経由して当時海外に出張していた結城さんに連絡が行って、
結城さんは出張を切り上げて帰国して、あんたと奈緒ちゃんを児童相談所から引き取っ
た」

「それから数日後自宅に帰宅したあんたの母親は、もぬけの殻みたいな家の中で一枚のメ
モを見つけたの。結城さんはその頃にはもうあんたの母親と別れる決心をしていた」

「あんたと奈緒ちゃんはそのときは結城さんの実家に預けられていて、結城さんの実家で
はあんたたちを母親には絶対に会わせようとはしなかったらしい」

「それから長い離婚調停が始まったのさ。結城さんも家庭を顧みなかったことに罪悪感を
感じていた。でも、専業主婦だった自分の奥さんが複数の男と浮気して子どもたちを放棄
しいたことを許そうとはしなかった」

「ここまでは理解できた? って奈緒人、続けても大丈夫?」

「大丈夫・・・・・・だと思う。正直、初めて聞く話だし戸惑いはあるけど」

「そう。やっぱり明日香がそばにいるとあんたも安心するんだね。もっと取り乱すかと思
ったよ」

「取り乱す以前にただ混乱している段階だよ」

「本当に平気?」

 僕は心配そうに言った明日香に無理に笑いかけた。「わかんない。でもおまえがいてく
れなかったらパニックになってたな」

「言ったでしょ。もう前とは違う。あたしは、あたしだけは絶対にお兄ちゃんを一人にし
ないから」

「うん。ありがと」

「礼なんて言わないでよ。こんな状況なのに」

「じゃあ続けよう。きつかったらいつでも言いなよ」

「わかった」

「この先はさ、明日香には話したことがあるんだけどね。いろいろ揉めはしたけど結局あ
んたの母親は結城さんとの離婚に同意したの。彼女にしてみれば結城さんを過剰に愛した
ためにしてしまったことだったから、なかなか結城さんとの離婚には同意しなかったのだ
けど、結城さんはあんたたち二人をネグレクトした奥さんを許す気はなかった」

「それでも離婚の条件について、二人は同意できなかった。金銭面ではなくてあんたちの
親権を巡って長い戦いが始まったのよ」

「最初は子どもたちをネグレクトして面倒を見なかったあんたの母親に不利な展開だった。
でも母親側の弁護士は優秀なやり手で、結局浮気もネグレクト自体も根本的な原因は家庭
を省みずに仕事に熱中していた結城さんが原因だと主張したの」

「それに忙しい仕事を抱えた結城さんが子どもたちをちゃんと育てられる訳がないとも。
結城さんの実家の両親、つまり奈緒人の祖父母も高齢で本人たち自身にも介護が必要で子
育てなんてできる状況じゃなかったことも不利な要素だったのさ」

「離婚の話し合いは家庭裁判所では決着がつかず裁判にまでもつれ込みそうなことになっ
ていた、その時」

 叔母さんが話を区切った。ウエイトレスが叔母さんのナポリタンを運んできたからだ。


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