331:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/15(月) 23:25:39.48 ID:p6U3xssZo
「あんたと奈緒ちゃんのことは、あの後明日香から詳しく聞いたよ」
「うん」
「幼い頃に生き別れた実の兄妹が悲劇的な偶然でお互いに血が繋がっているとは知らずに
出合い恋に落ちた。奈緒人、あんたそれを本気で信じられる?」
「・・・・・・よくわからないよ」
「あんたには家族に関する知識も昔の記憶もなかったけど、奈緒ちゃんは一年間に二度、
少なくても八回は結城さんと会っている。結城さんに聞いたことはないけど、結城さんと
奈緒ちゃんがいつもいつもお互いの近況や世間話ばかしてたわけじゃないでしょ」
「奈緒ちゃんが自分の生き別れたお兄さんのことを知りたがったって何にも不思議はない
よね。ましてやあんなに慕っていたあんたから無理矢理引き裂かれるように別れさせられ
たのだし」
「まあ、奈緒は真っ先にお兄ちゃんのことを聞いたでしょうね」
明日香が呟いた。
「うん。多分明日香の言うとおりだよ。奈緒人、たとえあんたと奈緒ちゃんの出会いが偶
然の出来事だったとしても、その・・・・・・奈緒ちゃんと仲良くなったらお互いのことを質問
しあったりしたんでしょ?」
「うん。それはそうしたよ」
「お互いに名前も名乗ったんでしょ。そして鈴木奈緒という名前にはあんたは聞き覚えは
なかっただろう。でもあんたの名前を聞いた奈緒ちゃんはその時どう思ったのかな」
彼女はその時いったい何を考えたのだろうか。僕と違ってナオは僕の名前を忘れずにい
た可能性もあるし、あるいはそれを忘れてしまっていたとしても叔母さんの言うとおりナ
オが父さんから僕のことを聞きだして僕の名前を知った可能性もある。どちらにしてもお
互いに名乗りあったその時には、ナオは僕が実の兄である可能性に思い当たったはずだっ
たのだ。
僕はフラッシュバックを気にしながら恐る恐るそのときのナオの反応を思い出してみた。
明日香がぴったりと僕に密着していてくれるせいかパニックを起こすことはないようだ。
『ナオって漢字で書くとどうなるの?』
『奈良の奈に糸偏に者って書いて奈緒です・・・・・・わかります?』
『わかる・・・・・・っていうか、僕の名前もその奈緒に最後に人って加えただけなんだけど。
奈緒人って書く』
『ナオトさん、運命って信じますか』
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