345:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/17(水) 23:27:04.23 ID:jCLNtfmIo
三十分も明日香の家の前で待っていたかいがあった。日が暮れてそろそろこのまま二人
を待っているのも限界かなと思ったとき、あたしは坂道を寄り添って歩いてくる明日香と
ナオトさんを見つけた。
手をつなぎぴったりとお互いに身を寄せ合っているその姿は、少なくともあたしには普
通の兄妹のようには見えなかった。人の趣味や性癖はさまざまだし、兄妹の恋愛だって当
事者同士が納得しているのなら他人がとやかく言うことではない。
自分だってある意味マイノリティな趣味を持っているということをあたしも自覚してい
たから、それが単なる知り合いの兄妹がそういう特殊な関係になったというだけならあた
しは黙って彼らの幸運を祈るだけだったと思う。
でもそれが明日香とナオトさんのことであれば事情は異なる。
ナオトさんはあたしが一方的に愛情と憎しみを抱いている奈緒の彼氏だ。
奈緒がナオトさんと別れること自体はあたしにとっては色々な意味で望むところだけれ
ど、その原因を明日香が意図的に作ったということであれば、それを見過ごすわけにはい
かない。
知り合って以来、明日香は明らかにあたしに対してナオトさんと付き合うようけしかけ
てきた。そのこと自体はあたしが抱いている目的の達成にはむしろ好都合だったから、あ
たしは明日香の仕掛けにかかった振りをしていた。
あたしは明日香にけしかけられるままにナオトさんと一緒に年末の買物に行ったり、ナ
オトさんに恥かしい告白をする振りをしたりもした。
でも、あたしは自分のことを誰かに利用されたり、こけにされたりすることは大嫌いだ。
これまでだって学校の友だちを含めてそんなことを許したことは一度もない。そういうこ
とを仕掛けてきた子はこれまでにも他にいたけれど、その子たちには今までだって受けて
しかるべき罰を受けさせてきたのだ。
あたしにとって例外である奈緒を除いては。
やがて家の前まで来た二人は立ち止まって何か深刻そうな話を始めた。街灯で家の前の
通りの方が明るかったせいか、それとも周囲を気にする余裕もないのか、明日香もナオト
さんもあたしが彼らの自宅の前の暗がりに立っていることには気がつかなかったようだっ
た。
あたしの方からは気持悪いことにお互いに手を恋人つなぎをしながら何かを囁きあって
いる二人の姿がはっきりと見えた。あたしはその話を気が付かれずに聞き取ろうと思った
けれど、二人はお互いに密着した距離で声をひそめて話していたためその内容まではわか
らなかった。
あたしが二人の話を聞くこと諦めて声をかけようと思ったとき、明日香の声が突然大き
くなった。少し離れているあたしにもはっきりと届くほど。それはもはや泣き声だった。
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