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346:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/17(水) 23:31:20.67 ID:jCLNtfmIo

「あたしお兄ちゃんを好きな振りをして、お兄ちゃんをあたしの方に振り向かせようとし
ているうちに気がついちゃったの。奈緒のこととか関係なくてもあたしはお兄ちゃんが好
きなんだって。あたしにとってお兄ちゃんは運命の人なんだって」

 これは明日香のナオトさんへの、自分の実のお兄さんへの告白だった。あたしは黙って
その茶番劇を聞いているべきだったのだ。でもそのときのあたしを、あたしを一方的にけ
しかけておいてその一方ではナオトさんに図々しく告白している明日香に我慢できなくな
ってしまったのだった。

「それは明日香に都合がよすぎる話だよね」

 あたしは玄関先の暗がりから二人が立っている住宅街の小さな坂道の方に出ていった。
このときようやく二人はあたしがこの場にいたことに気がついたようだった。

「明日香、それにナオトさんも今晩は」

 二人は驚いたようにあたしを見た。それから慌てたようにお互いの手を離した。

「どうしたの? 明日香、大丈夫」

 あたしの方もさっきは無意識に自分を失って本心を声に出してしまっていたのだけど、
立ち直りは突然現われたあたしに驚くこの二人よりは早かったようだ。

「有希、いつからいたの」

 ようやく我に返ったらしい明日香があたしを見た。

「三十分くらい前からいたよ。ちょっと用があって待ってたんだけど」

「あの・・・・・・あのさ。あたしたちが喋ってた話、聞こえてた?」

 明日香が震える声であたしに聞いた。やっぱりこの子はこれだけの子だったのだ。あた
しは少し安心した。あたしは明日香の言葉に腹を立てて彼女を責めるようなことを口にし
まっていた。あの言葉を冷静に聞かれていたらあたしは明日香には相当警戒されていただ
ろう。でも明日香はあたしの言葉に悩むどころではないようだった。

「ううん。誰かが来たなあって思ってぼうっとしてたら明日香とナオトさんだった。帰ろ
うかと思っていたところだから都合がよかったって言ったんだけどさ。ちょっと時間あ
る?」

 明日香は目に見えて安心したようだった。それでも彼女にとっては大切な告白タイムを
あたしが邪魔したことには違いがなかったようだ。

「えと、ごめん。ちょっと家族の悩みの話とかあってさ。またメールで話すんでもいいか
な」

 今日は明日香にというよりはナオトさんがなぜ奈緒に会わなくなったのかを聞き出さな
ければいけなかった。明日香の告白を聞いてだいたいの理由は察しがついたような気もす
るけれども。

「すぐに済むと思うよ。ナオトさんに聞きたいことがあるだけだから」

 あたしはナオトさんに声をかけた。ナオトさんの方は真剣な目であたしの方を見ていた。


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