348:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/17(水) 23:39:11.13 ID:jCLNtfmIo
でもあたしにも好奇心はあった。奈緒のこととは無関係でれば、明日香とナオトさんな
んかには本来は全く興味がなかったあたしだけど、奈緒がらみなら話は別だ。このままで
はどういう理由でナオトさんが奈緒を振る気になったのか判然としない。
それに明日香があたしを利用しようとしていったことは確かだったから、ナオトさんが
奈緒を振る理由が明日香の誘惑にに心を奪われたということであれば、相応の罰を明日香
に下しておかなければ、明日香に利用されかかったあたしの気が済まない。
「確認するけど、ナオトさんはもう奈緒ちゃんと付き合い続ける気はないのね」
「うん。そうだよ」
相変わらずの表情だったけどナオトさんの言葉は明瞭だった。
「それでその理由を奈緒ちゃんに話す気すらないと」
「その方が彼女のためだから」
「何言っているのかわからないけど。そっちがそういう態度ならあたしにも言いたいこと
があるんだけど」
あたしはついにそれを口にした。
「奈緒ちゃんを振った理由ってまさか明日香と付き合うからじゃないでしょうね」
ナオトと明日香は顔を見合わせた。街灯しか照明がない薄暗い景色の中だけど、その時
明日香の顔が真っ赤に染まったのをあたしは見た。
「やっぱりね。あたしは兄妹の禁断の告白タイムを邪魔しちゃったのか」
あたしは明日香をあざ笑うように言った。
「ちょっと有希、いい加減にしなよ」
明日香の声に怒気が感じられた。そう言えばこの子はちょっと前まで不良じみた格好を
してイイヤマたちとつるんでいたんだっけ。あたしはイイダたちがピアノ教室の帰りに奈
緒ちゃんに絡んでいたことを思い出した。
「ねえ明日香ちゃん」
あたしは猫なで声を出した。ちゃんづけまでして。「明日香ちゃんはあたしに言ってく
れたこと覚えてる? 多分ナオトさんには秘密だったんだろうけど」
明日香が狼狽したようにナオトさんの顔を見た。何かを言おうとしたけど結局は黙った
ままだ。やはりあたしはこの子を買いかぶりすぎていたらしい。
「あたしの方が奈緒ちゃんよりナオトさんの彼女にふさわしいってしつこいくらいあたし
に言ってくれたよね? あとナオトさんにメールしろとかおせち料理の買出しにかこつけ
てナオトさんとデートしろとかさ」」
ナオトさんは一瞬動揺したように見えたけど、すぐにその表情を押し殺した。
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