388:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/23(火) 22:58:53.64 ID:o4ymIMCXo
「富士峰だあ?」
運転席に収まったままの加山さんが怒ったように口を挟んだ。
「・・・・・・そうですけど」
「おまえさ。何を言い出すかと思えばあのお嬢様学校の中学生が女帝だって言うのかよ。
適当なこと言ってるんじゃねえぞこのガキ」
「おい加山」
飽きれたように平井さんが言った。「おまえの方こそ捜査情報をこいつに漏らしてるじ
ゃねえか」
「あ」
加山さんは口をつぐんだ。
「まあいいか。おい兄ちゃん、おまえは俺がさっき頭が働いて仲間を統制できるような玉
なんて普通は不良高校生の中になんていねえって言ったことを覚えてるか」
「はい」
「その玉が現われたらしい。それが仲間内で女帝と呼ばれている女だ。いや、女の子らし
いけどな。そいつの名前は太田という女らしいというところまでわかったんだが」
女帝、組織立って不良高校生たちを統制できる玉。まさかさすがにそれは有希ではない
だろう。清楚なお嬢様でピアノコンクールの常連の入賞者である有希が不良たちの女親分
だなんて想像すらできない。
「加山じゃねえけど富士峰の中学生っていうのはさすがに無理があるかな」
平井さんは少し考え込んでから言った。
「いや、僕は別に有希がその女帝とやらだなんて一言も言ってないですよ。ただ、明日香
が襲われる直前に、有希は明日香とその・・・・・・喧嘩みたいになって明日香は飛び出して行
ったんです。その夜に明日香はあんな目に遭ったんです」
「材料が少なすぎるな。それに女帝はフリーターかせいぜい高校生だと思われていたんだ
が」
平井さんは考え込んだ。
「その太田有希って中学生だが、ひょっとしてピアノが上手だったりするか」
平井さんが僕にそう聞いた。僕は一瞬凍りついた。
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