423:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/30(火) 22:53:45.09 ID:Ve6nBptio
「それにしてもさ、あたしはか弱くなんかないって。奈緒とか有希みたいなお嬢様じゃな
いんだしさ」
「・・・・・・僕にとってはおまえはいつもか弱い危なっかしい妹だよ」
「え」
「前にさ、公園で鳩を追い駆けていた幼いおまえの記憶が残っているって話したことある
だろ」
「それ、きっと奈緒の記憶だよ。年齢が違うもん。あたしたちが初めて出会ったのはそん
なに幼い年じゃないし」
「うん。多分それは僕の思い違いなんだろうけどさ。でもそのときの女の子をすごく大切
に感じたことや僕が守ってやらなきゃって思ってその子を追い駆けていた記憶はすごく鮮
明なんだよね」
「お兄ちゃんは奈緒のことをそれだけ大切に思ってたんでしょうね」
「いや、僕はその子をおまえだとこの間まで信じていたしさ。それでもその幼いおまえの
ことが心配な気持ちは確かに感じてたんだ。事実としては勘違いかもしれないけど、おま
えのことを大切に思った想いだけは本当の感情だと思うよ」
「お兄ちゃん・・・・・・」
「おまえと仲が悪かったときとかおまえが夜遅く帰ってきたときとか、正直関りたくない
と思ったことはあったけど、結局気になって眠れなかったんだよね。僕も」
病室のベッドに腰かけていた明日香が涙の残った目で僕を見上げた。
「それくらいにしなよ。それ以上言うともう本気でお兄ちゃんを誰にも渡したくなくなっ
ちゃうよ」
「うん。おまえと恋人同士になれるかどうかはともかく、少なくともおまえは僕の妹だよ、
一生」
僕はだいぶ恥かしいことを真顔で言ったのだけど、そのときはそれはあまり考えずに自
然と口から出た言葉だったのだ。
「・・・・・・まあとりあえずそれで満足しておこうかな」
泣きやんだ明日香が微笑んで言った。「ヘタレのお兄ちゃんにこれ以上迫ったら逃げ出
しちゃうかもしれないし、それはそれで嫌だから」
「ヘタレって」
「とりあえずあたしはこれで奈緒と同じスタートラインに立てたってことだね」
明日香が言った。
僕は黙ってしまった。まだ明日香の気持ちに応えられるほど気持ちの整理はついていな
い。僕は昨晩感じた奈緒への性欲のような衝動を思い出した。
「血が繋がっていないだけ有利だしね」
明日香が僕に止めをさした。
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