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424:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/30(火) 22:54:37.07 ID:Ve6nBptio

 それでも叔母さんが帰ってくるまで病室内の雰囲気は穏やかだったと思う。お互いに意
識して微妙なラインの会話を続けながらも、昔よりは確実に僕と明日香はお互いを理解し
合おうとしていたのだ。

 僕が奈緒のことで悩んでいたときに明日香は僕を黙って支えてくれたし、今は僕は同じ
ことを明日香にしようとしている。それは明日香の僕への想いとはかかわりなく、ようや
く僕たちが自然な兄妹の関係に復帰できたということだった。

「パパやママもそうだけどまた玲子叔母さんに迷惑かけちゃったな」

 明日香の担任にどう話そうかという話を蒸し返していたときに明日香がぽつんと言った。

 確かにそのとおりだった。僕と奈緒のことでいろいろ迷惑をかけただけでは足りずに、
今回は叔母さんにはお礼の言いようもないほど世話になったのだ。

 真っ先に病院に駆けつけたのも、すぐに僕に連絡をくれたのも叔母さんだ。そして今日
は半日だけとはいえ多忙な仕事をよそに病院の支払いから明日香の着替えの購入まで面倒
を見てくれている。

「昔から姉さんにはあんたたちの世話を押し付けられてたからね」

 僕が叔母さんにお礼を言おうとしても叔母さんはそう言って笑うだけだった。叔母さん
にだって自分の仕事やプライベートな仕事だってあるのだろうに、僕たちも両親も叔母さ
んに頼ってばかりだ。

「叔母さんって彼氏いないのかなあ」

 明日香がそう言った。

「さあ? 聞いたことないよね」

「あんなに綺麗なんだから絶対いると思うな」

「確かにそうだ」

 そのとき僕は叔母さんのすらりとした細身の容姿を思い浮かべた。確かにあれで彼氏が
いない方が不自然だ。もっとも性格の方はだいぶ男っぽいので大概の男では叔母さんを満
足させられないのかもしれない。

「玲子叔母さんってパパのこと好きだったんじゃないかな」

 突然明日香がびっくりするようなことを言い出した。

「え? パパって今の父さんのこと?」

「うん。あたしたちのパパのこと」

 女の子の想像というのも随分突飛な方向に暴走するものだとそのとき僕は思った。それ
はまじめに取り合う気もしないほど斜め上の発想だった。

「何でそうなるの」

「叔母さんがパパに話しかけるときの雰囲気とかで感じない? 何か甘えているような感
じ」

「どうかなあ。特には気がつかないな」

「ママがいる時は普通の態度なのよ。でもさ、この間の夜みたいにママがいなくてパパと
かあたしたちと一緒にいる時の叔母さんって、すごくはしゃいでててさ。パパに話しかけ
るときの様子とか何か可愛い女の子って感じじゃん」

「それは思いすぎだと思うけどなあ。第一叔母さんにだけじゃなくて母さんにだって失礼
だろ、そんな想像は」

「でもそう感じるんだもん」

 明日香が頑固に言い張った。


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