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43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/01(土) 21:48:05.60 ID:JedZn9S4o

 それでも手を繋いだままちょっと上目遣いに僕の方を見上げて微笑みかけてくれるナ
オを見ると、もうそんなことはどうでもよくなってしまった。

 兄友も言っていたけど僕には昔から考えすぎる癖がある。今はささいな疑問なんかど
うだっていいじゃないか。付き合い出した初日だし今は甘い時間を楽しんだっていいは
ずだ。

 やがてホームに滑り込んできた電車に並んで乗り込んだ後も、ナオは僕の手を離そう
としなかった。僕はナオは僕の手を握っていない方の手で吊り輪に掴まるのかと思った
けど、ナオはそうせずに空いている方の手を僕の腕に絡ませた。つまり揺れる電車の車
内でナオを支えるのが僕の役目になったのだ。

 そういう彼女の姿を見ると最初に彼女を見かけたときの儚げな美少女という印象は修
正せざるを得なかった。

 むしろ出会った翌日に僕に会いに来たりメールで告白したり、彼女はどちらかという
とむしろ積極的な女の子だったのだ。でもその発見は僕を困惑させたり幻滅させたりは
しなかった。

 むしろ逆だった。僕は積極的なナオの様子を好ましく感じていたのだった。僕は何と
なく大人しい印象の女の子が自分の好みなのだと今まで考えていたけど、よく考えれば
初めて告白して振られた女さんだって大人しいというよりはむしろ活発な女の子だった。

 まあそんなことは今はどうでもいい。僕の腕に初めてできた僕の彼女が抱きついてい
てくれているのだから。

「ナオちゃんってさ」
 僕はもう全く緊張せず僕の腕に抱き付いている彼女に話しかけた。「そう言えば
名前・・・・・・」

「あ、あたしもそれ今考えていました。ナオトさんとナオって一字違いですよね」

「ほんと偶然だよね」

「偶然ですか・・・・・・運命だったりして」

 そう言ってナオは照れたように笑った。

「運命って。あ、でもさ。ナオって漢字で書くとどうなるの?」

 そう言えば僕とナオはお互いの学校と学年を教えあっただけだった。これからはそう
いう疑問にもお互いに答えあって少しづつ相手への理解を深めて行けるのだろう。

「奈良の奈に糸偏に者って書いて奈緒です・・・・・・わかります?」

 え。偶然もここまで来ると出来すぎだった。

「わかる・・・・・・っていうか、僕の名前もその奈緒に最後に人って加えただけなんだけ
ど。奈緒人って書く」

 ナオも驚いたようだった。

「ナオトさん、運命って信じますか」

 ナオは真面目な顔になって僕の方を見た。


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