過去ログ - ビッチ
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438:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/31(水) 23:47:10.68 ID:z8naSqP5o

 でも今となってはそれは多分明日香が思っているような単純な話ではない。有希は女帝
かもしれないのだ。その有希が本気で僕を好きになったのかは考えただけでも疑わしい。

 最初に有希に近づいたのは明日香の方みたいだけど、仮に有希がギャング団の女親分だ
としたら明日香ごときに誘われるままに僕たちと冬休みを一緒に過ごしたり、僕のことが
好きだなんて告白したりするだろうか。

 やはり有希には何か目的があるのだ。そして有希に不用意に接近してしまった明日香の
身の安全のためにも、僕はその理由を探らなければならない。

 どういうわけか平井さんも玲子叔母さんも最初から僕がそうすることに疑いを抱いてい
なかった。いったい何でかはわからないけど。

 それを明日香に言う必要はない。叔母さんだってそのことは明日香には全く話していな
いようだった。だから僕は明日香にこう言った。

「有希さんのことはもういいよ。そしてもう有希さんには近づかない方がいい。下手に謝
ろうなんてしたらかえって彼女を傷つけると思うよ」

「ちゃんと謝りたかったんだけどな」

「もう関わりになる必要はないよ。おまえが本気で僕のことを好きならなおさらね」

「お兄ちゃん、あたしの愛情を疑っているの?」

 何とか明日香の気持ちを逸らすことができた。これ以上明日香は有希と関ってはいけな
いのだ。そのとき僕は一番大切な話をまだ明日香にしていなかったことに気がついた。

「それよりさ。奈緒と会ったんだ」

「え」

 明日香はすぐに有希のことを忘れて奈緒の話に食いついた。

「何でよ? もう会わないって約束したじゃない」

 僕は昨日叔母さんに話したことを繰り返した。奈緒に待ち伏せされ詰られたこと。その
後フラッシュバックを起こした僕が口走ったセリフによって、奈緒は僕が引き離された実
の兄だと気づいたこと。

 明日香は驚いたように口も挟まずに話を聞いていたけど、僕と奈緒がこれからは再会し
た兄妹としてずっと一緒にいようと約束をしたあたりで不服そうな顔をした。

「それって結局、奈緒とお兄ちゃんはこれまでどおり朝一緒に登校するし、お兄ちゃんは毎
週土曜日にはピアノ教室に奈緒を迎えに行くってこと?」

「まあ、そうだね」

「・・・・・・なんか別れた恋人同士がよりを戻したみたいに聞こえるんだけど」

「そんなわけあるか。これから兄妹として仲良くしていこうってことだよ」

「兄妹ってそんなにいつもベタベタ一緒にいるものだっけ」

「最近は僕だっておまえといつも一緒じゃん」

「お兄ちゃんはお兄ちゃんじゃないし」

 正しい日本語にはなってないけど、明日香の言うことも理解できた。同時にいい兄妹に
なるはずの兄の方が、今でもまだ妹になったはずの奈緒に対して抱いている性的な情欲の
ことも心に浮かんだのだけどそれは胸のうちにそっと仕舞っておいた。


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