過去ログ - ビッチ
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460:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/11/04(日) 00:07:00.31 ID:gptjZZajo

 それは見開きページの企画物で、雑誌の一番後ろの方のページに掲載される埋め草記事
の企画だった。そんなだから企画そのものはレイアウトに至るまで酒井さんの所属するプ
ロダクションにまる投げだった。

「テーマはハーブの香りでリフレッシュして彼氏に良い女だと思わせようでしたよね」

 酒井さんは自販機で買ったコーヒーを飲みながら言った。

「うん」

「アロマテラピーのことを書けばいいんでしたっけ」

「まあそういうやつ。たださ、商品紹介では価格的にJKが買える範囲の商品にしてくれ
ないと困るけど」

「うーん」
 酒井さんが困惑したように言った。「企画にけちをつける気はないんですけど、アロマ
テラピーって対象年齢を間違えてませんかね?」

「まあJKが自室でお香みたいにハーブを炊いてるなんて想像できないよね。火だって使
うんだしさ」

「・・・・・・わかってるなら何でこんな企画を考えたんです?」

「あたしの企画じゃないもん。キャップの婆さんが最近アロマにはまっててさ。それで一
本作れて言われただけだし」

「下請けの身で何ですけど。まあ玲子さんだから言うんですけど、ぶっちゃけこの企画す
ごく無理がないですか」

「酒井さんもそう思う?」

「ああいうのって結構高いみたいだし、JKが買える範囲の商品を紹介しろって言われて
もなあ。それに高校生には絶対受けないですよ、こんな特集」

「・・・・・・・やっぱそうだよね」

 キャップに言われた時には、てめえの趣味で雑誌作るじゃねえよとかって心の中で悪態
をついたあたしだったけど、後半の埋め草の記事だからまあ仕方ないかと思ったことも事
実だった。でも担当している企画をライターさんに呆れられたのは正直恥かしかった。

「じゃあどうするよ? あたしキャップに歯向かう権限なんてないよ」

「いや、まあ勝手に仕事を断ったら僕が社長に殺されますよ。だからやります、やらせて
ください」

 酒井さんはおどけて言ったけど下請けの編集プロダクションの社員ならこう言うしかな
いだろう。あたしは酒井さんを気の毒に思ったけど、こんな特集を担当して恥をかくのは
むしろあたしの方なのだ。

「少しテーマを広げて何とかやってみます」

「悪いね」

「仕事ですからね」

 酒井さんは笑って言ってくれた。


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