464:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/11/04(日) 00:12:32.49 ID:gptjZZajo
三十近い年齢で未婚のしかも処女の女の妄想としては最悪に近いけど、あたしは慌てた
様子の奈緒人が遮った明日香の言葉を脳裏で勝手に補完した。そんなことをせずに忘れる
べきだったのだけど、そうしないではいられなかったのっだ。
『お兄ちゃんはね、叔母さんのこと(を一人の女性として好きなんだって)』
『違うのよ。ねえ叔母さん、聞いて聞いて。お兄ちゃんって叔母さんのこと(が昔から女として気になって仕方がないんだって)』
これほど恥かしい妄想もないだろう。万一この妄想が奈緒人や明日香にばれたら、あた
しは二度といい叔母として二人の前に姿を現すことすらできなくなってしまう。
でも自分を誤魔化すことはできなかった。その妄想は強烈に甘美な夢だった。あたしの
体の奥をじんと熱くするほどに。
奈緒人は十三歳も年下の高校生だ。あたしが彼と初め出合った頃は彼は小学生で、彼は
あたしのことをおばさんと呼んだのだ。あたしたちの距離感はそこから始まっているとい
うのに。
でも。
もし奈緒人があたしの妄想そのままの言葉をあたしに囁きながら、あたしを見つめてそ
っとあたしの体に手を伸ばしてきたら。
あたしは処女だ。でもそのときの奈緒人になら身体を柔らかく開いて全てを奈緒人に許
してしまうに違いない。
こんなことを考えていることを知られただけでも明日香と奈緒人には絶交されてしまう
だろう。
男の人が女体を知らないまま三十を過ぎると魔法使いと呼ばれるらしい。そこまで純潔
を保てれば魔法だって使えるようになるだろうというわけだ。それなら三十過ぎの処女は
何て呼ばれるだろう。魔女なんだろうか。
こんなことなら今まであたしに言い寄ってきた社内の誰かに処女をくれてやればよかっ
たのだ。いつまでも姉さんの旦那の結城さんなんかに片想いなんかしていないで。
あたしにとって結城さんの息子の奈緒人は彼の代替品なのだろうか。
いや、違う。高校生の甥に恋するなんて気持ち悪いことを考えていたあたしだけど、そ
のことだけは自分に対しても否定できなかった。
あたしは奈緒人に恋しているのだ。あの夏の日の公園で初めて出会ったときはまだ小学
生だった彼に。
もちろん本気でこの恋を成就させる気なんかなかった。
むしろこの恋を自分の中でどうやって終らせ、そして明日香に対する後ろめたい気持ち
をどうやって収めようかだけを考えよう。心からいい叔母さんとして二人の前に立つには
どうすればいいのかを考えよう。
あたしは無意識に握りつぶしたままの紙コップを持ったまま、のろのろとミーティング
ルームを出て自分のデスクに戻った。
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