過去ログ - ビッチ
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47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/01(土) 21:56:05.94 ID:JedZn9S4o

 放課後になって僕が部活に行く兄友と別れて校門を出ようとした時、そこにたたずん
でいる女さんに気がついた。

「誰かと待ち合わせ?」
 僕は彼女に話しかけた。「兄友は部活だよね?」

「・・・・・・そうじゃないの。もう一度ちゃんとナオト君に謝っておこうと思って」

「あのさあ・・・・・・」

「うん」

「僕は全然気にしてないって。それにさっきだって言ったでしょ? 君の言ったことは
本当のことだよ」

 女さんは俯いていた顔を上げた。

「それでも。誰かに家族のことを変な風に言われたら嫌な気分になるでしょ? あたし
だって自分の兄貴のことをあんなふうに馬鹿にした言い方されたら嫌だもん」

「だから・・・・・・ごめんなさい。ナオト君の妹とは知らなかったけど明日香ちゃんのこと
酷い言い方しちゃっててごめん」

 明日香のことをビッチ呼ばわりされた僕だったけど正直に言うとあの時はそのことに
ついてそんなに不快感を感じなかった。女さんが言ったことはかなり控え目な表現で言
っても、実際の妹はビッチというほかないような女だと僕は思っていた。

 それでもあいつは僕の家族だった。女さんが他人の家族のことを悪く言ったことを思
い悩む気持ちもよくわかった。

 兄友たちはああいう風に言ったけど妹がビッチと呼ばれても仕方がないことは事実だ
った。僕だって妹のビッチな行動の直接的な被害者だったのだ。

 それでもやはり家族というのは特別なのかもしれない。それが全く血がつながってい
ない義理の妹であっても。

 今までだって誰かの口から妹の悪口を聞くと僕はすごく落ち着かないいたたまれない
ような気分になった。指摘されていることは普段から僕が思っていた感想と全く同じも
のだったとしても。

「もういいって」
 それでも僕は女さんに微笑んだ。「本当に気にしてないよ」

「ごめん」

「途中まで一緒に帰る?」

「いいの?」

「兄友が嫉妬しないならね」

「それはないって」

 不器用な僕の冗談にようやく女さんが笑ってくれた。


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