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488:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/11/06(火) 22:53:13.33 ID:IZBoRVWYo

 確かにあの平井さんに明日香が事情聴取されるよりは、目の前で柔らかな微笑みを浮べ
ている女性の警官に事情聴取された方が明日香も緊張しないだろう。二人の女性警官は制
服も着ていないのでそういう意味でも明日香には答えやすいかもしれない。

 それにしてもこの人が何気なく言った性犯罪という言葉は改めて明日香が被害を受けそ
うになった飯田の凶行を否応なしに思い浮かべさせられた。明日香は僕との仲が進展して
多少は気分転換できたかもしれないけど、やはり明日香があのとき経験したことは中学生
にとっては過酷な出来事だったのだ。

「ちょっと妹の様子を見てきますから、少し待ってもらえますか」

 僕は言った。明日香に心の準備ができているかを確認しないで勝手にこの人たちを家に
入れるわけにはいかない。

「あら。あなたは明日香さんのお兄さんなのね」

 今さらながら女性警官がそう言った。正確には今では僕は明日香の彼氏なのだけどこの
人たちにわざわざそのことを宣伝する必要はない。

「はい。ちょっとだけ待ってください」

「ごゆっくりどうぞ。明日香さんの気が進まないならまた明日とかに出直してもいいの
よ」

 私服の婦警さんが気を遣ったように言ってくれた。

 僕は自分の部屋の戻って毛布を被っている明日香に声をかけた。

「明日香?」

「誰だった?」

 毛布から顔だけちょこんと出した明日香が聞いた。

「それが・・・・・・警察の人なんだ。おまえから事情を聞きたいって」

 明日香の顔が一瞬曇った。でもすぐに明日香は気を取り直したようだった。

「そう。早く済ましちゃった方がいいんだろうね」

 明日香が殊勝に微笑んだ。

「気を遣って女性の警官が来てくれてるし三十分くらいで終るって」

「そうか」

 明日香が起き上がった。

「じゃあ着替えるね」

「リビングで待っていてもらうな」

「うん。お兄ちゃん?」

 僕は部屋のドアのところで立ち止まった。

「一緒にいてくれる?」

「もちろん」

「お兄ちゃん」

 明日香は僕のことを奈緒人君と呼ぶことなんて忘れてしまったみたいだ。

「どうした」

「・・・・・・キスして」

 明日香が目を閉じた。僕から明日香にキスするのはこれが初めてだった。


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