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49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/01(土) 22:05:13.85 ID:JedZn9S4o

 僕が女さんと別れて帰宅し自分の部屋に戻る前にリビングのドアを開けると妹がソフ
ァに座ってテレビを見ていた。

 僕に気がついた妹は僕の方を見た。どうせ無視されるか嫌がらせの言葉をかけられる
のだろう。僕はそう思った。昨日のこいつの醜態に文句を言いたいけどそんなことをし
たって泥仕合になるだけだ。そのことを僕は長年のこいつとの付き合いで学んでいた。

「お兄ちゃん、お帰りなさい」

 妹が言った。

 え? 何だこの普通の兄妹の間のあいさつは。無視するか悪態をつくかが今までの妹
のデフォだったのに。

 その時僕は奇妙な違和感を感じた。そしてその違和感の原因はすぐにわかった。

 どうしたことか妹の濃い目の茶髪が黒髪に変わっているのだった。そして帰宅したば
かりなのかまだいつものスウェットの上下に着替える前の妹の服装はいつもの派手目な
ものではなかった。

 平日に制服ではなく私服を着ていること自体も問題だと思うけど、そのことを考える
よりも僕は妹が今着ている服装から目が離せなかった。

 どういうことだ?

 薄いブルーのワンピースの上にピンクっぽいフェミニンなカーデガンを羽織ってい
る。僕はナオの制服姿しか見たことがなかったけどきっと清純なナオならこういう服装
だろうなって妄想していた姿そのままの妹がソファに座っていたのだ。

「どしたの? お兄ちゃん。あたしの格好そんなに変かな?」

 僕はやっと我に帰った。

「いや変って言うか、何でおまえがそんな格好してるんだよ?」

「そんな格好って何よ。失礼だなあお兄ちゃんは」

 妹は落ち着いてそう言ってソファから立ち上がるなりくるっと一回転して見せた。

「そんなに似合わない? お兄ちゃんにそんな目で見られちゃうとあたし傷ついちゃう
なあ」

「いや、似合ってる・・・・・・と思うけどさ。それよりその髪はどうした? 何で色が変わ
ってるんだよ」

「何でって、美容院で黒く染め直しただけだし」

 僕は妹をの姿を改めて真面目に見た。その姿は正直に言うと心を奪われそうなほど可
愛らしかった。でもこいつは内面が外見に追いついていない。

 ぼくは昨日のこいつの酔った醜態のことで文句でも言おうと思っていたのだけど、こ
いつだって彼氏と別れたばかりだったことを思い出した。

 昨日や一昨日のこいつの嫌がらせのことは少し忘れよう。

「おまえさ、何かあったの?」

 妹は僕を見て笑った。そしてどういうわけかその笑いにはいつものような憎しみの混
じった嘲笑は混じっていないようだった。何か両親に紹介されてお互いに初めて出会っ
た頃のような照れのような感情が浮かんできた。

「何にもないよ。お兄ちゃん、今日は何か変だよ」

 変なのはおまえだ。僕は心の中で妹に言った。それにしても妹の黒髪ワンピ、そしてお
兄ちゃん呼称の威力は凄まじかった。これまでが酷すぎたせいかもしれないけど。

 それからしばらく僕は呆然として清楚な美少女のような妹、明日香の姿を見つめ続けて
いた。

「お兄ちゃん?」

 明日香がそう言って僕の隣に寄り添った。


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