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531:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/11/13(火) 23:59:09.28 ID:hx9segxTo

 酒井さんとの待ち合わせしているファミレスでぼんやりとその出来事を思い出していた
俺は声をかけられて顔を上げた。

 目の前には相変わらず意味不明なダサイ格好の酒井さんと、タイトなスカートとスーツ
姿で赤い眼鏡をかけた女が並ん俺の方を見下ろしていた。

「ちゃんと来てくれたんだ」

 酒井さんが向かいの席に座りながら言った。

「まあ、渡さんの紹介っすから」

 俺は酒井さんにそう答えたけど、目の方は酒井さんの隣に座ろうとしている女に釘付け
になっていた。

 その女は小太りな酒井さんと対照的に細身ですっきりとした容姿だった。多分俺たちが
普段ババアと呼んでいる年齢の女だったけど、それでもこのときの俺はスーツの袖口から
覗くこの女の細い手首やブラウスから垣間見える白い胸元、この女の整った顔立ちから目
を奪われていた。

「悪いね。絶対に君に迷惑はかけないから」

 酒井さんの言葉を半ば聞き流しながら俺はその女の姿をガン見したままだった。さぞか
しこのときの俺は阿呆面をしたいたに違いない。

 俺に見つめられていることに気がついた女は俺に向かって微笑みかけた。

「あたしは神山っていうの。今日は酒井と一緒にあなたを取材させてね」

 女は高そうな皮の名刺入れを取り出して俺に名刺をくれた。その様子を見てとってつけ
たように酒井さんもポケットから直にくしゃくしゃの名刺を取り出したのだけど俺は女の
名刺の方だけに関心を持って見た。

『株式会社集談社 ヘブンティーン編集部 神山玲子』

 この女は玲子というのか。

「コーヒーをください」

 注文を取りに来たウェイトレスに酒井さんが言った。

「カフェバーになりますけどよろしいですか」

「ああ、はい」

 無意識だったのだろうけど、そのとき玲子という女は物憂げに脚を組んだので、黒いス
トッキングに包まれた細い脚のラインが俺の視線を奪った。


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