532:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/11/14(水) 00:01:21.09 ID:2b4zr21ro
自分では高校生にしてはでかいことをしていたつもりだった。親や両親がこれを聞いた
らきっと腰を抜かすほどに。高校生と中学生のグループだというのに俺たちは月に二百万
円近く稼ぎ出していたのだ。しかも完全に合法的なやり方で。
知り合ったばかりだった玲子を感心させようと、俺は固有名詞こそ出さなかったものの
かなり深く俺たちのビジネスの情報を話してやった。
この玲子という女はババアだし大人なのだけど、こんなに優れたビジネスモデルを築い
た俺に対しては興味を抱いてくれるだろう。もっともそれを考え出したのは俺ではなく有
希なのだけど。
「つまりネット通販で海外から仕入れたハーブを、ネット上で頒布しているということ
か」
酒井さんが言った。
「そうす。そしてブツは完全に合法っすから何も法律に触れるようなことはしていないっ
す」
「まあ確かに今のところは薬事法違反にはならないものなあ。でも売っている相手って中
高生なんでしょ」
「そうっすよ。主に知り合いの知り合いとか伝手を頼ってくる連中にですけど、実際に会
うことはないですね。掲示板とかで隠語でやり取りするんですよ」
「いろいろ考えているんだねえ」
酒井さんが感心したように言ってくれたので俺は少し気分がよくなった。有希が仕切り
だしてからは昔の俺たちと違って基本的には法に触れるようなことはしていないのだ。だ
からこそ、俺が飯田を殴り倒して警察のお世話になったことを有希はあれほど気にしたの
だろう。そういう小さなミスから全てが駄目になるのだと有希はよく俺たちに言っていた。
「うーん」
玲子が脚を組み替えながら眼鏡を直す仕草をした。組み替えようとしたストッキングに
包まれた細い脚の奥に俺の目は釘付けになった。
「あなたの言うとおり犯罪じゃないかもしれないけど、脱法ハーブを吸引して事故を起こ
こしたり犯罪を起こしたりしているわけでしょう。そういうことには罪の意識は感じな
い?」
「感じないすね」
俺は玲子を見て言った。「ハーブは香りを楽しむものでしょ? 注意書きにも直接吸引
すると危険だって書いてあるんだし」
「実際のところ吸引しないで部屋でアロマみたいに炊いている人っているの?」
「いるわけないでしょ。火着けちゃったら五分で燃え尽きちゃいますよ。あの値段のハー
ブを燃やすやつなんているわけないじゃん」
「じゃああなたもまるっきり無罪というわけにはいかないんじゃないの。ハーブを買う高
校生たちが吸引するって知っていて売ってるんでしょ」
玲子がいかにも大人らしく何か小賢しいを言い始めた。
「あんた俺に喧嘩売ってるの? じゃあ俺たちのやっていることのどこが違法なのか言っ
てみなよ。ハーブを売ることが何の法律に違反してるんだよ」
俺はむかついて玲子に脅しをかけたけどこの女は少しも動じる様子はなかった。
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