56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/02(日) 22:56:56.23 ID:SMaVK8Xxo
「おまえ無理するなよ」
今度は僕の方から妹の肩を抱き寄せた。こんな行為を妹にするのは生まれて初めてだ
った。でも、どんなに仲の悪い兄妹だとしても妹が悩み傷付いているならそれを慰める
のが兄貴の役割だろう。自分だけ部屋にこもってナオのことを思い浮かべて幸福感に浸
っているわけにもいかないのだ。
「え?」
突然僕に肩を抱き寄せられた妹は一瞬驚いたように凍りついた。それからどういうわ
けか妹の顔は真っ赤に染まった。
僕は妹の肩を抱いたままで話を続けた。
「彼氏と昨日別れたんだろ? それで辛くて悩んでそして気分転換に髪を黒くしたり服
を変えたんだろ?」
僕は話しながら妹の顔を覗き込んだ。その時は自分では親身になって妹の相談に乗っ
ているいい兄貴のつもりになっていた。
「悩んでいるなら聞いてやるからふざけてないでちゃんと話せよ。おまえが僕のことを
嫌っているのは知ってるけど、こんな辛い時くらいは僕を頼ったっていいじゃないか」
妹は僕の言葉を聞くと突然僕の手を振り払って自分の体を僕から引き剥がした。
その時の妹はもはや照れたような紅潮した表情ではなかった。そしてその清楚な格好
には似合わない怒ったような表情で言った。
「あんた、バカ?」
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