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573:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/11/18(日) 23:45:57.55 ID:HzzsU8/Zo

「信じているからね」

 明日香が機嫌を直したように僕に抱きついた。

「うん。叔母さんにも父さんたちにもちゃんと話すよ」

 僕も明日香を抱きしめた。慣れというのは恐いものかもしれない。もう僕には明日香の
体を抱くことに違和感がなくなってきていた。実の妹である奈緒を除けば明日香と僕はい
ろいろな意味で一番相性がいいのかもしれない。一緒にいて安心するとか気を遣わなくて
いいとかという意味では、ひょっとしたら明日香は僕にとって奈緒以上に隣にいるのが自
然な存在なのだろうか。

 そんなことを考えながら明日香の体を抱きしめて背中を撫でてやっているうちに、僕は
自分の腕の中の明日香が体を小刻みに揺らしていることに気が付いた。それも僕が明日香
の背中を撫でるごとに次第に大きくなっていくようだ。

 僕は自分の頬に明日香の吐息を感じた。

「どうかした? 傷が痛むのか」

「お、お兄ちゃんのばか。変態」

 明日香は小さい声でそう言った。僕の体に回されている明日香の腕に力が込められた。
それに気が付いて明日香の顔を見ると顔が真っ赤になっているし息も荒い。

「変態っておい」

「童貞、キモオタ」

 明日香の悪口には慣れていたけど、そのときの明日香の声は今までとは異なり甘いもの
だった。

「恋人同士になっても相変わらずおまえは口が悪いな」

 僕は苦笑して言った。でもこの方が明日香との距離感としては落ち着く。僕は少しだけ
笑ってしまいそうになった。こういうのが本当に幸せということなのかもしれないと僕は
はふと考えた。

 辛いことを思い出さないようにしたせいか今となっても不完全な過去の記憶や、奈緒と
兄妹の名乗りを上げることによって完治の方向には向かっていたようだけど、油断すると
すぐに発症するかもしれないPTSD。

 ろくなことがなかった僕の人生で初めてのやすらぎが訪れたのかもしれなかった。奈緒
と恋人同士になれたときもそう思ったのだけど、結局あの関係は安定した安寧の地ではな
かったのだ。

 僕はそういう感傷にふけって明日香を抱いていたのだけど明日香の様子は少し変だった。

「お兄ちゃんの意地悪」

 自分の脚を僕の足に絡みつかせるようにしながら明日香が小さく言った。明日香の甘い
吐息が僕の耳をかすめた。そして僕の体も明日香に応えて反応しだした。

「もういじめないでよ。お兄ちゃん抱いて」

 明日香が悩ましい声で言った。


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