58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/02(日) 23:05:56.19 ID:SMaVK8Xxo
自分の部屋でベッドに入ってからも僕は妹の言葉が気になって眠ることができなかっ
た。付き合い出した初日だしナオのこと以外は頭に浮かばないのが普通だろうけれども。
でもこの瞬間にベッドの中で僕の脳裏に思い浮ぶのは妹だった。
こいつは僕とナオが一緒にいるところを目撃し、ナオが僕の好きな人だということを
知った。そして彼氏と別れた。その後美容院に行って髪を黒く染め服装も大人し目で清
楚っぽい服に着替えた。
思い出してみれば妹の爪もいつもの原色とかラメとかの派手なマニュキアではなく、普
通に何も手を加えられていないほんのりとした桜色のままだった。
その全てが僕の好みに合わせたのだと妹は言った。いったいそれは何を意味している
のか。本当は妹は昔から僕のことを好きだったのだろうか。
妹の言動からはさすがにそれ以外の回答は導き出すことはできなかった。少なくとも
妹の変化に対して唯一僕が思いついた理由、つまり妹が彼氏と別れたから妹はイメチェ
ンをしたのだということは、妹に一瞬で否定されてしまった。
あと今さらながら気になるのは何で妹が彼氏を振ったのかということだった。もちろ
ん彼氏のどこかが許せなくて別れたということもあるだろう。
それにしても妹が僕のことを好きなのかもしれないという前提でそれを考えると、僕
がナオに出会ったことを知ってすぐに彼氏を振った妹の行動には、僕のことが気になる
からということ以外の理由は考えづらかった。
それは僕とナオのことを気にして自分もフリーになったということか。
そうなるともうこいつが僕のことを好きななのではないかということ以外に僕には思
いつくことはなかった。
もう今日は考えるのをやめて寝よう。そう思って携帯のアラームをセットするために
携帯を手に取った僕はメールの着信があることに気づいた。僕はメールを開いた。それ
はナオからのメールだった。
from :ナオ
sub :無題
本文『こんばんは。用事なんて何もないんですけどナオトさんのことを思い出している
と全然眠れないからメールしちゃいました。まだ夜の七時だからいいですよね』
『今日初めてナオトさんと一緒に登校できて嬉しかったです。』
『何かあっという間にお別れの時間が来ちゃった感じでしたよね。本当はもっともっと
ナオトさんに抱きついて一緒にいたかったです(汗)』
『あたし男の人と付き合うのはこれが初めてだからよくわからないんですけど、こうい
ういつまでも一緒にいたいっていう気持ちは付き合ってれば普通に感じるものなんでし
ょうか』
『それともあたしにとってナオトさんが特別な人なのかなあ。名前が似ているのもそう
だし、出会い方だってロマンティックでしたよね?』
『明日またナオトさんに会うのを楽しみにしています。じゃあそろそろ寝ないと万一遅
刻したら嫌だし』
『おやすみなさいナオトさん。大好きです(ハート)』
『ナオ』
このメールは大分前に来ていたものだった。多分僕と妹がリビングで話をしていた頃
に。今からでは返信するには時間が遅すぎる。返事がなかったことにナオを失望させて
しまったかもしれないと思うといてもたってもいられなかったけど、もう後の祭りだっ
た。
明日朝ナオに会ったら忘れずにフォローしよう。僕はそう考えた。そしてナオのメー
ルのおかげで妹のことを忘れることができた僕はそのまま携帯を握り締めながら眠りに
ついたのだった。
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