582:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/11/20(火) 00:14:56.01 ID:c7WRVhhio
「ごめん。明日香は奈緒のことを僕の妹であることを知らなかったといったけど、実はそ
うじゃないんだ」
ここまで来たら全部打ち明けた方がいいと僕は思った。
「どういうこと?」
「明日香は別に僕のことなんか好きじゃなかったんだ。少なくとも男としては」
「奈緒人さんのことを好きじゃないなら何で明日香はあたしをそそのかしたの? それな
ら別に奈緒人さんの気持ちを奈緒ちゃんから離そうとする必要なんてないのに」
「僕も奈緒も付き合い出してからもお互いが実の兄妹だということを知らなかったんだ。
でも明日香は奈緒の名前から彼女が僕の妹であることに気がついた」
僕はもう全部を有希にさらけ出すことにした。そうしたって有希が明日香に都合よく利
用されたという事実は変わらないということはわかっていたのだけど。
「それで明日香は僕がそのことに気がついて悩み傷付くことを恐れて、奈緒から僕の気持
ちを引き剥がそうとしたんだ。決して奈緒と別れさせた僕を自分の彼氏にしたかったから
じゃないよ」
有希は少し考え込んだけどそれでも納得した様子はなかった。
「それが事実だとしても二つ疑問があるよね」
「・・・・・・うん」
「まず一つ目は奈緒人さんを傷つけないためならあたしを傷つけても、奈緒ちゃんが悩ん
でも構わないのかということ。目的が正しければどんな手段を取ってもいいの?」
僕は答えられなかった。明日香がしたことはまさにそういうことだったから。
まともな答えなんか期待していないのか、黙り込んだ僕には構わず有希は冷静な表情で
続けた。
「もう一つは・・・・・・。あのとき明日香は明らかに奈緒人さんに告白してたよね? あたし
は奈緒人さんと明日香が本当の兄妹だと思っていたから、あのときは自分が明日香に利用
されたんだって思って悲しかった気持ち以上に、実の兄を異性として愛するなんて気持悪
いって思ったのだけど」
この話の行き先がだんだんと見えてきた。行き着く先は芳しくないところなのだけど、もとも
と有希にはそのことをいずれは話すつもりだったのだ。僕は覚悟した。
「奈緒人さんが明日香の本当の兄じゃないなら、お二人は付き合おうと思えば付き合える
んだよね」
「うん」
「明日香の気持ちに応えたの?」
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