66:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/03(月) 23:38:52.45 ID:euF2FmBAo
「ナオトさん。顔がにやにやしてますよ」
ナオが笑って言った。
「そ、そうかな」
「そんなにあたしに彼氏がいなかったことが嬉しかったんですか」
「僕は別に・・・・・・」
不意にナオがこれまでよりもう少し僕に密着するように腕に抱き付いている自分の手
に力を入れた。
「でも気にしてくれてるなら嬉しい。ナオトさんは今まで彼女とかいたんですか? 中
学も高校も共学ですよね?」
「いないよ。僕もナオちゃんが初めての彼女だよ」
それがナオにどんな印象を与えたのかはわからなかった。自分が初めての彼女で嬉し
いと思ってくれるのか、もてない男だと思って失望されるのか。でも何となくこの子に
は正直でいたいと思っている僕がそこにいた。そしてそれは決して嫌な感覚ではなかっ
た。
「嬉しい」
ナオは言った。「お互いに初めて好きになった相手でしかも名前も似てるんですよ」
「うん」
「本当に運命の人っているのかも」
僕とナオは改めて見つめ合った。
「お、ナオトじゃん」
僕たちはその時大きな声で僕に話しかけてきた兄友に邪魔されたのだった。
「あ、ナオト君だ。って富士峰の制服の子だ」
これは女さんだった。「ナオト君の彼女でしょ? もう一緒に登校してるんだ」
「おはよう」
僕はしぶしぶ兄友と女さんにあいさつした。
僕は二人にナオを紹介した。二人のところを邪魔されたわけだけど、ナオは僕の友人
たちに僕の彼女として紹介されることが嬉しかったのか、高校の最寄り駅で別れるまでず
っと機嫌が良かった。正直に言うと僕はもっとナオと二人きりで話をしていたかったの
だけど。
「じゃあ、ナオトさん。また明日ね」
ナオが控え目な声で言った。「明日は電車の中で待ち合わせだから忘れないでくださ
いね」
「うん、大丈夫だよ」
「兄友さん、女さん。これで失礼します」
「またね〜」
「気をつけてね」
僕はナオ兄友と女さんのせいで何か消化不良のような気分になりながらナオに別れを
告げ、兄友たちと連れ立って電車から降りた。
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