過去ログ - ビッチ
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723:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/15(土) 23:03:13.90 ID:qyGk20Fno

 彼女の話は僕の想像を超えていた。要するに夏目さんは、僕が自分のことを好きなので
はないかと考えたと言うのだった。そして自分のことを好きな僕が仲良さそうに理恵と話
しているのを目撃し、それがどういう意味なのかを聞きに来たそうだ。

「夏目さんさ、それいろいろおかしいでしょ」

 僕はようやくそれだけ言うことが出来たけど、彼女はそれには答えずに言った。

「・・・・・・先輩、あたしのこと好きなんでしょ」

「何言ってるの」

「あたし、わかってた。最初に新歓コンパで合ったとき、先輩はあたしのことじっと見て
たでしょ」

「・・・・・・それだけが根拠なの」

「それだけじゃないですよ。美術史の講義で会ったときも先輩、じっとあたしのこと見つ
めていたでしょ」

 自惚れるのもいい加減にしろ。いったい彼女は何様のつもりだ。腹の奥底から怒りが込
み上げてきた。

「君、正気か。酔ってるの?」

「酔ってませんよ。先輩こそ嘘つかないで。あたしがこんなに悩んでいるのに」

「あのさあ、確かに僕は君のことを見たよ。それは認める。君は綺麗だし。でもそれだけ
で君のことを好きとか決め付けられても困るよ。第一、僕は一言だって君のことが好きだ
とか付き合ってくれとか言ってないでしょ」

「生意気なようですけど先輩って自分に自信がなさそうだし、あたしのことを好きだけど
勇気がなくて告白できなかったんじゃないですか。あたし、ずっと先輩の告白を待ってた
のに」

 おまえは何様だ。僕は怒りに振るえた。確かに彼女は目を引く容姿と落ち着いた行動を
取れるだけの知性を備えているのだろう。そして自分の容姿に自信もあるに違いない。そ
れはこの十分程度の会話からでも理解できた。だからといってこんな風に僕の気持ちを決
め付けていい理由にはならない。

 そのとき僕はふと思いついた。ひょっとしたらこれはもてない男をからかうゲームなの
だろうか。

「・・・・・・・もしかして君は誰かに何かの罰ゲームでもさせられてるの? そうだとしたら
巻き込まれる方は迷惑なんだけど」


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