777:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/12/29(土) 00:15:21.19 ID:a6JXZXXTo
僕はプリントを全部読み終わった。その生々しいやりとりに動揺もしたし、僕に対する
鈴木先輩の誹謗めいた言葉に憤りもした。でも結局麻季は先輩を拒絶したのだ。少なくと
も先輩と別れたという麻季の言葉は嘘ではなかった。
「見せてくれてありがとう」
僕はプリントの束を怜菜に返そうとした。
「先輩、まだニ、三枚読み残しがあるみたい」
怜菜が言った。最後と思っていたページの下に数枚最後のページに折曲がってくっつ
くようにして残っていることに僕は気づいた。
「先輩には申し訳ないですけど、その最後の方を読んだ方がいいと思います」
怜菜はさっきまで泣いていたとは思えないくらい冷静な口調で言った。
「・・・・・・わかった」
僕は紙を捲って未読のプリントを読み始めた。最初に麻季から鈴木先輩に当てたメール
があった。日付を見ると二〜三ヶ月前だ。それを見て僕は目の前が暗くなった。僕が必死
で彼女を信じてやり直そうとしている間に、麻季は再び先輩とメールを再会していたのだ。
『もう電話もメールもしないで。あたしのことを本当に大切に思っていると言う先輩の言
葉が本心ならもう放っておいて』
『ごめん。君のことが心配でいてもたってもいられなくなって。今日も定演のリハだった
んだけど散々な出来だったし』
『説明するからこれで最後にして。あたしは先輩との過ちを博人君に告白しました。博人
君はあたしのことを許してやり直そうと言ってくれたの。もちろん完全に彼に許してもら
えたなんて思っていない。彼は奈緒人のためにあたしのことを許そうと考えてくれたんだ
と思う。もうあたしには奈緒人と博人君のためだけを考えて一生過ごすほかに選択肢はな
いの。先輩のこと嫌いじゃなかった。でももうあたしの中に先輩の居場所はありません』
麻季は先輩のことは嫌いではないと言っていた。それは本当に辛かったけど、そこだけ
を問題にしてせっかくやり直している僕たちの関係を無にする気はなかった。
「もう少しだけだから全部読んでみてください」
怜菜が言った。
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