過去ログ - ビッチ
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814:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/06(日) 23:52:51.59 ID:VyIo5u+Ro

「ごめんなさい」

「いや」

「あたし最低だ。自分が浮気したのにそれを許してくれた博人君に嫌なことを言っちゃっ
て」

「もういいよ。明日は子どもたちを連れて外出しようよ」

 僕は麻季を抱きしめた。麻季も僕に寄りかかって目をつぶった。

 僕は数ヶ月ぶりに麻季に自分からキスした。麻季がこれまでしてくれてたような軽いキ
スではなく。麻季の体を撫でると彼女も泣きながら喘ぎだした。僕は麻季の細い体を愛撫
しながら彼女の服を脱がした。

 その晩、麻季の浮気以来初めて僕たちは体を重ねた。独身や新婚の時だってそんなこと
はなかったくらい麻季は乱れた。

 こうして僕は再び麻季を抱くことができた。それからしばらくは麻季の感情も落ち浮い
ていたし、僕が帰ると機嫌よく迎えてもくれた。奈緒人と奈緒も順調に育っていたし、僕
たちは夫婦生活最大の危機を何とか乗り越えたかに思えた。



 そのまま過去のことを引きずらない生活が数年続いた。奈緒人も奈緒も幼稚園に入った
し麻季も昼間は育児から開放されたせいか奈緒の名前や玲菜のことに悩むことも無くなっ
たようだった。奈緒人と奈緒は少し心配になるくらいに仲が良かった。これまでは奈緒人
や奈緒の愛情は僕と麻季に向けられていたと思っていたのだけど、この頃になると二人は
少しでもお互いが目に入る距離にいないとパニックになるくらいに泣き出すようになって
いた。

 例えば外出中に僕と麻季が別行動を取ることもあった。そんなとき僕が奈緒人を、麻季
が奈緒を連れてほんの三十分くらい別々に過ごそうとしたとき、まず奈緒が火がついたよ
うに泣き出し、「お兄ちゃんがいいよ」と叫び出した。泣き叫びはしなかったものの奈緒
人の方も反応は同じようなものだった。「奈緒はどこにいるの」と繰り返し泣きそうな顔
で僕に訴えていたから。

 それで懲りた僕たちは極力二人を一緒にいさせるようにした。そしてこのこと自体は僕
も麻季も嬉しかった。これまで頑張って奈緒人と玲菜の忘れ形見である奈緒を育ててきた
甲斐があったと思った。

 そのまま推移すれば普通に仲のいい家族として歳月を重ねられたのかもしれない。この
頃は僕と麻季が玲菜や先輩のことを話題に出すことすらなかった。僕も、そして麻季もそ
んな今の生活に満足していたのだから。


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