878:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/25(金) 23:24:17.22 ID:7rNmoFO0o
クローバーに入るのは玲菜と会って以来だった。小さいとはいえ編集部を任された僕は
以前より外で打ち合わせをする機会が減っていたのだ。
「博人君。ここだよ」
理恵が手を振った。理恵が座っているのが玲菜と最後に会ったときの席ではなかったこ
とに僕は何だか少しだけほっとしていた。
「お待たせ」
「仕事大丈夫だったの」
理恵が僕の仕事を気にして言ってくれた。
「うん。どうせそろそろ昼食にしようかと思ってたとこだし」
「そうか、よかった」
理恵が上目遣いに僕を見て微笑んだ。何だか本当に麻季に出会う前、まだ普通に恋愛し
ていた頃に自分に戻ってしまったような気がした。
「じゃあ、何か食べようよ。ここ食事できるんでしょ」
「サンドウィッチとかパスタくらいしかないけどね」
「それでいいよ。博人君、何にする」
いそいそとメニューを取り出して僕に相談する理恵の様子すら今の僕には微笑ましかっ
た。妹に洗脳されたわけではないけど、僕は理恵のことが好きになっているのかもしれな
い。彼女を抱いてしまった後に思うようなことではないのかもしれないけど。
もしかしたら僕はようやく麻季に対する不毛な感情から開放されるのかもしれない。
「パスタっていってもナポリタンかミートソースしかないのね」
「この店にそれ以上期待しちゃだめだよ。でも味は結構いいよ」
「そう? 博人君は何にするの」
「ミックスサンドにする」
「じゃあ、あたしも」
そう言って理恵は微笑んだ。
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