過去ログ - ビッチ
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896:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/01/29(火) 23:21:20.31 ID:HhhlN1+2o

法的にはまだ僕は既婚者だったからすぐに理恵と結婚するわけにはいかなかったし、お
互いに子どもがいたから同居するのも難しかったので、少なくとも麻季との離婚調停の結
果が出るまではこれまでどおりお互いに実家で別々に生活を送ることになった。

 公園で理恵と話をしてから僕はこれまでより注意して子どもたちを見るようになった。
そうすると、僕はこれまでは子どもたちへの愛情と憐憫からこの子たちのことを、とにか
く可愛がることしかしてこなかったことに気がついた。僕の実家に馴染んでよかったとか
僕の帰りが遅くても二人とも最近泣かなくなったとか、そういうことだけを僕は一喜一憂
してこれまで過ごしてきたのだった。

 改めて子どもたちの様子を覗うと僕にもいろいろ新たにわかったことがあった。

 例えば最近、唯は楽しそうに僕と理恵のことをからかったり、少し真面目になったとき
は僕たちが結婚したらどこに住むのかとかそういう質問を僕にすることがあった。そうい
うときには両親も楽しそうに口を挟んできた。でも、子どもたちは大人たちが盛り上がっ
ている会話の中には入ってこようとしない。もちろん、大人の話だから話には入りづらい
だろう。でも普通の子どもたちなら、わからないなりに無理にでも話に参加しようとする
だろうし、場合によってはその場の関心を自分たちの方に向けようとするものではないか。

 でも、奈緒人も奈緒も大人しく二人で寄り添っているだけで、話に割り込んでくる様子
は一切見せようとしなかった。

 大人同士の話の間、奈緒人と奈緒は二人だけのささやかな世界を作り上げてその中にこ
もっているようだった。それは微笑ましい光景でもあったけど同時にひどく寂しいことで
もあった。母親にネグレクトされた経験を持つ奈緒人と奈緒は、大人たちに相手にされな
いときは他の甘やかされて育った子どもたちのように大人の関心を自分たちの方に向かせ
ようと駄々をこねたり話に割り込んできたりしない。そういうとき、奈緒人と奈緒は反射
的に二人だけの世界に閉じこもることを選ぶようになっていた。

 やはりこの子たちにはまだネグレクトされたことによる影響が残っている。僕は子ど
もたちが自然に二人きりの世界を作っているのを見てそう思った。

 それから、奈緒人と奈緒の関係も微妙ながら変化しているようだった。


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