91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/06(木) 22:04:33.15 ID:04B86Ztno
ナオが入っていった家のドアを僕はしばらく放心しながら眺めていた。
ナオが言っていたような前世とかを信じていたわけではなかったけど、運命の恋人と
か言われることは気分が良かったので僕は特にそのことに反論しなかった。
確かなことは一つだけ。僕が好きなのは、僕にとって一番大切な子はわずか数日前に
付き合い出したナオだけだ。
そろそろ妹のアプローチに鈍感な振りをしているのも限界かもしれなかった。
もし本当に妹が僕のことを好きなのだとしたら。
結局妹を傷つけるなら少しでも早いうちに自分の本心を妹に告げたほうがまだしもあ
いつの傷は浅いかもしれない。
そんなことを考えながら僕は時間を潰すために駅前の方に向った。無事に駅前に着い
たとき再び僕は違和感を感じた。
僕は昔から方向音痴だった。方位的な感覚がなく地図を見るのも苦手なので初めて来
た土地でこんなにスムースに駅前に戻れるなんてあり得ない。
まして行きはナオの指示のままに何も考えずに着いて行ったのだし。
やはりここには来たことがあるのだ。そして体がそれを覚えていたのだろう。ナオの
言うような前世とかではなくこの世に生まれてから僕はこの駅とピアノ教室の間を歩い
たことがあるのではないだろうか。
でもそれがいつのことでいったい何のためにピアノ教室になんか行ったことがあるの
かまるでわからない。僕はピアノなんて習ったことはないのだ。
駅前に戻ったときにはもう本屋が開店していた。本屋で適当に時間つぶしのための雑
誌を買った僕はカフェに行こうとしてふと気づいた。そういえば一緒に食事をする約束
ができたのはいいけどいったいどこに行けばいいのだろう。
ナオには偉そうにお店を探しておくよと言ったけど本当は当てなんか何もない。女の
子がどんな店を好むのかさえよくわからなかった。
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