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912:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/03(日) 00:04:33.90 ID:gNbKbyMjo

 調停からの帰り道、みんなでファミレスに寄って遅い昼食をとることにした。

 僕と理恵、玲子ちゃんと子どもたち三人の総勢六人で賑やかに食事をしたのだったけど、
そのときの子どもたちの様子を僕はその後ずっと忘れられなかった。

 奈緒人と奈緒がお互い以外の子どもに興味を持って親しくしているところを実際に見た
のはこれが初めてだった。明日香ちゃんも人見知りしない子のようだった。彼女は多少甘
やかされて育った様子はしたけれど、そんなことには関わりなく奈緒人と奈緒とは短い公
園での出会いですっかり打ち解けているようだ。特に奈緒と明日香ちゃんは既にお互いを
名前で呼び合っている。

「お兄ちゃん口に付いている」

 奈緒が奈緒人の口を拭いた。

「服にもこぼしてるじゃん」
 明日香ちゃんも奈緒の真似をして奈緒人の世話をやき始めた。「お兄ちゃんの服、ケチ
ャップが付いてるよ」

「・・・・・・明日香まで奈緒人君のことお兄ちゃんって呼んでるじゃない」
 玲子ちゃんが理恵をからかうように言った。「もう、いつでも結城さんと結婚できる
ね」

「玲子! あんた子どもたちの前で何言ってるの」

 理恵が本気で狼狽して言った。そう言えば明日香ちゃんに対して理恵が僕たちのことを
話しているのか聞いたことはなかった。うちの実家でも理恵との再婚は両親と妹には公然
の事実となっていたけれど、まだ奈緒人と奈緒にははっきりと話をしているわけではなか
った。麻季との親権争いが片付いていない不安定な状況で将来の話を子どもたちにするわ
けにはいかなかったからだ。

「子どもってすぐに仲良くなっちゃうんだね」

 理恵のことを気にする様子もなく玲子ちゃんが笑って言った。

「そうですね。僕も驚いたよ」

「あたしは結城さんと奥さんの事情はよく知らないけど、この子たちのこういう様子を見
ているだけでも結城さんとお姉ちゃんの結婚を応援する気になるよ」

 玲子ちゃんが理恵に言った。

「・・・・・・玲子」

「まあ、結城さんと結城さんの奥さんの話は唯ちゃんから聞かされてはいたし、奈緒人君
たちもつらかったんだなとは思ってたんだけどさ」

「うん」

「でもまあ、唯ちゃんは結城さんが大好きなブラコンちゃんだから話が偏ることも多いか
らな」

「何言ってるのよ」

「だから話半分に聞いていたんだけど、今日公園で二人を眺めててさ。奈緒人君と奈緒ち
ゃんって相当つらいことを乗り越えてきたんだなって思った」

 少しだけ声を潜めて子どもたちを気にしながら彼女は言った。

 やはり初対面の玲子ちゃんでもそう考えたのだ。

「結城さんとお姉ちゃんが結婚すれば、奈緒人君と奈緒ちゃんとそれにうちの明日香が一
緒に暮らせるじゃない? それだけでもこのカップリングは正しいよ」

「それだけでもって言うな。あたしと結城さんは」

「・・・・・・何よ」

「何でもない」

 理恵が赤くなった。


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