937:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/07(木) 22:39:13.75 ID:1AQJe9pWo
それはいくら何でも妄想が過ぎるというものだと麻季は思った。彼女は卒業してから全
く連絡を取らなくなっていた玲菜のことを思い出してみた。
当時、同性の友人がほとんどいなかった麻季にとって玲菜はほとんど唯一の友人であり、
親友でもあったのだけど、あの頃の玲菜には男女問わず友人が多かった。講義に出ても
サークルに行っても彼女に話しかける学生はたくさんいた。
「玲菜、元気?」「よう玲菜。最近付き合い悪いじゃん」「玲菜さ、鹿児島のフェスのマ
スタークラス申し込む?」「今日、芸大の人たちから合コン誘われてるんだけど玲菜も行
かない?」
玲菜は愛想よく話しかけてくる友人たちに受け答えしていたけど、気の進まない誘いは
頑として断っていた。あたしなんかに気を遣わなくていいからもっと友だちと遊べばいい
じゃん。麻季は玲菜のそういう態度に不審を覚えてそう言ったことがあった。
「いいよ。本当に気が進まないし、あたしは麻季と一緒にいた方がいいや」
そういうとき、玲菜は決まって笑ってそう言うのだ。
麻季だって玲菜がいないと一人で寂しいということはない。玲菜と一緒に過ごす方が気
は休まるのだけど、一人で過ごしたくなければ自分に言い寄って来た男を呼び出せばいい。
もっともほとんどがつまらない男ばっかだったので、麻季が一緒にいてもいいと思えるよ
うな男はサークルの鈴木先輩くらいだったけど。
彼になら多少のことは許してもいいかもと麻季は当時考えていた。本音を言えば相手が
鈴木先輩だとしても、一緒にいることに対して本心から充足感を感じたことはなかったの
だけれど、自分の相手をしてくれる人の中では彼はだいぶましな方だった。それに彼と一
緒にいると学内で優越感を感じることができる。
それでも麻季にとっては玲菜が一緒にいてくれたほうが気が休まった。唯一の親友、と
いうか唯一の同性の友人である彼女といると、麻季は気を遣わずに楽しく過ごすことがで
きるような気がしていたからだ。
玲菜には友人たちの誘いは多かったけど、それでもほとんどの誘いは断って麻季と一緒
に過ごしてくれていた。彼女も麻季と一緒にいると気を遣わなくていいやと笑って言った。
そんな二人の関係が変化したのは麻季が生まれて初めて自分から手に入れたいと思った
男性と出合ってからのことだった。
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