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949:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/11(月) 00:21:01.94 ID:ER1rVJ59o

 友だちでいられると思ってほっとしたのはよかったけど、結局その後は怜菜とはあまり
一緒に過ごさなくなっていった。

 一つには博人と付き合っているうちに、思っていたより麻季の方が博人に夢中になって
しまったからだった。男性に対してここまで依存に近いくらい一緒にいたいと考えるよう
になったのは、彼女にとっては初めての経験だった。麻季はなるべく博人と過ごすように
していた。お互いに違う講義に出席している時間を除けば、キャンパス内でも大学への行
き帰りもいつも二人きりで過ごしていた。それは全部彼女の希望だったけど、博人も笑っ
てそれでいいよと言ってくれた。そういうこともあり博人といつもべったりと一緒だった
麻季には怜菜と一緒に過ごせる時間がなくなってしまったのだった。

 もう一つは麻季自身の怜菜に対する感情の問題だった。怜菜に祝福されてほっとした彼
女はこれまでどおり彼女と付き合えると思っていた。ところが博人に惹かれ夢中になって
いくうちに自分でもよくわからない嫉妬めいた感情によって心が支配されてしまうように
なった。怜菜は博人のことが好きだったのだろうか。つい先日までの彼女の悩みは自分が
親友の好きな人を奪ってしまったことによって、怜菜が自分から離れていってしまうので
はないかというものだった。ところが博人に対する独占欲が強くなっていくうちに、怜菜
に対する感情が変化していった。怜菜が本当に博人のことを好きで、しかもその感情をま
だ諦めていないとしたらどうだろう。麻季は男性に関して他の女の子のことなんか気にし
たことはなかった。神山先輩に対してだって負けると思ったことはなかった。それなのに
怜菜に対してはなぜか不安を覚えるのだ。

 そういうわけで麻季は怜菜も含めて学内ではあまり博人以外の人と会ったり喋ったりし
なくなった。博人と二人きりでいるだけで十分だったし、そうしている間は怜菜への漠然
とした不安もあまり感じないですむ。麻季が自分の方からこれほどまでの愛情と不安と嫉
妬心を抱いた男性は博人が初めてだった。

 最初、怜菜はそんな麻季の様子に戸惑い、そして少し寂しそうだった。

「麻季って最近結城先輩とべったりだね」

 二人が出席していた同じ講義が少し早く終ったあとに彼女はそう言った。

「うん。彼と一緒にいないと寂しくて。ごめんね」

「謝ることはないよ。あたしは別にいいけどさ。麻季って本当に結城先輩が好きなんだ
ね」

「うん」

「でも気をつけた方がいいかも。たまに鈴木先輩が二人のこと凄い目で睨んでるし」

「・・・・・・あの人、まだそんなことしてるんだ。博人君に追い払われて逃げたくせに」

「まあ、先輩にしてみれば自分のことを麻季に浮気されて捨てられた被害者だって思って
いるろうし」

「冗談じゃないよ。あたしあの人に殴られたんだよ。女に手を出すなんて最低でしょ。あ
のとき博人君が助けてくれなかったらもっとひどいことされてたかも」

「それはそうかもしれないけどさ、まあでもちょっとは注意しなよ。あ、お迎えが来たみ
たいだよ」

「うん。ごめんね」

 麻季は博人が怜菜に気づく前に彼の腕を取って出て行ってしまった。怜菜が普通に接し
てくれるのはいいけど、彼には怜菜を紹介したくなかったのだ。だから博人は怜菜も含め
て麻季の友人に紹介されたことは一度もなかった。


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