962:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/11(月) 23:25:10.55 ID:ER1rVJ59o
席について飲み物が運ばれると、先輩は快活に共通の知人たちの消息を話してくれた。
麻季は作り笑顔で頷いてはいたけど、その実少しもその話に興味を持てなかった。
彼女にとって興味があったのは怜菜と先輩との関係、そして怜菜の消息だった。
「今は横フィルにいるんだ。ようやく去年次席奏者になれたくらいだけどね」
「すごいんですね」
麻季はとりあえずそう言ったけど、その言葉に熱意がこもっていないことに先輩は敏感
に気が付いたようだった。
「君だって立派に子育てしてるじゃん。とても幸せそうだよ」
「そんなことないです」
「きっと旦那に大切にされてるんだろうね。まあ、正直に言うと君ほど才能のある子が家
庭に入るなんて意外だったけどね」
「あたしには才能なんてなかったし」
「佐々木先生のお気に入りだったじゃん。みんなそう言ってたよ。君がピアノやめちゃう
なんてもったいないって」
「・・・・・・あたしは旦那のそばになるべく長くいたかったし」
「いい奥さんなんだね。しかし結城のやつも嫉妬深いというか」
博人の悪口を聞かされて麻季の顔色が変ったことに気がついたのだろう。先輩は言い直
した。
「そうじゃないか。愛情が深いってことだね」
取り繕うように笑った先輩は心なしか少しイライラしているような感じだ。本当にここ
で鈴木先輩と出会ったのって偶然なんだろうか。麻季は少し不審に思った。
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