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984:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/02/13(水) 22:57:37.39 ID:kDGj/IPLo

 このときはいろいろとつらい思いをしたのだけど、結局のところ麻季は博人の愛情を確
信することができた。鈴木先輩との浮気を告白した彼女に対して、博人は最後には許して
やり直そうと言ってくれたのだ。博人の愛情を確認するという意味だけを取り上げれば、
あの声のアドバイスも正しかったのかもしれない。でも博人の愛情を再確認したその代償
もまた大きかった。

 博人の愛情を確信した以上、もう麻季は博人に抱かれてもいいはずだった。でも麻季の
浮気を許して彼女の自分への愛情を信じてくれたはずの博人も、一度鈴木先輩に抱かれた
麻季の身体を抱くことができなくなってしまったのだ。

 もうあの声も反対しなかったので、麻季は積極的に博人を誘惑した。そういうときは博
人もそれに応えてくれようとしていたのだけど、やはり博人は再中に萎えてしまい彼女を
抱けなくなってしまう。麻季は夫が自分を抱けなくなったという事実に狼狽したけれど、
それはもちろん自業自得というものだった。

 それでも肉体的な問題を除けば、麻季は幸せで多忙な日々を送ることができた。彼女に
は奈緒人がいる。博人が彼女を許した理由の大半は奈緒人絡みなのかもしれないけど、そ
のことは別に彼女を傷つけはしなかった。奈緒人は二人の分身だった。そして二人を繋ぎ
とめる絆でもある。奈緒人の成長振りを博人と話しているとき、彼女は博人に抱かれて喘
いでいるときと同じくらいの充足感を感じた。



『麻季ちゃん?』

 鈴木先輩から電話がかかってきたのは博人が不在の夕暮れのことだった。

 着信表示は「鈴木先輩」という文字が浮かび上がっていた。あれから結局麻季は先輩と
メールのやりとりを再開してしまっていた。そんな気は全くなかったのだけど、怜菜の件
はまだ未解決だった。そのことを例の声に指摘されて麻季はしぶしぶとそれなりに先輩に
気のある素振りを装ったメールを返信していたのだ。怜菜が先輩の携帯をチェックしてい
るかもしれないからね。そうあの声が言ったせいだった。

『メール以外で連絡しないでって言いましたよね?』

『わかってる。ごめん。でもそんなことを言っている場合じゃないんだ』

 偶然再会してから、いや大学時代に先輩と知り合ってから初めて聞くような切羽詰った
声だった。

『何なんですか。もうすぐ博人君が帰ってくるんですよ。話があるなら早くして』

 これ以上博人君に嫌われたくない。彼が帰宅したときは抱きついてキスして、それから
奈緒人を彼に抱かせて迎えてあげたい。そんなささやかな幸せを鈴木先輩ごときに奪われ
たくない。それにこれ以上博人君に誤解されるのもまずい。麻季はそう思って冷たく答え
た。

『悪い・・・・・・。でも僕よりも麻季ちゃんに関係することだから』

『いったい何があったんですか』

『そのさ。すごく言いづらいんだけど』


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