過去ログ - 【聖杯戦争】やる夫はステゴロワイヤーアクションで戦うようです
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42: ◆ylCNb/NVSE
2012/09/02(日) 00:23:53.64 ID:7ShsGcqB0

 蒔寺氏はやらない夫の忠告も忘れて物見遊山に出ていた。
言峰父子だけでも一見の価値があると町民の間では噂になっているぐらいである。

 蒔寺ともあろうものが町民誰もが噂する話題について無視できるはずがない。
ふたりのアメリカ人魔術師を後ろに従えて丘の上の工事現場にいそいそと足を運ぶ。

 スーツの似合う長身の女性が蒼星石、ドレスの女性が翠星石である。
ふたりともやらない夫と真紅の依頼で蒔寺氏の警備に務めていた。

 アメリカ魔術師は魔術協会にこそ所属していないが、横のつながりがない訳ではない。
表向きは商工会とか、全米ライフル協会とか、鯨保護団体と名を変えつつも、
社会的には企業の経営者、その実態は魔術師という二重の生活を楽しんでいた。

 蒼星石は今年、大阪に拠点を開いた日本ゼネラルモーターズの取締役の婦人として
日本に居を構えるつもりであり、彼女自身も車業界では有名な業界人である。

 「蒔寺さん、ちょっと待ってくださいよ!」と蒼星石が足の速い氏を呼び止めた。
”冬木の黒豹”と異名を取る氏である。若いふたりより俄然、馬力が違うのだ。

 「人間、最後に物を言うのは体力!さあ、早く早く!」
それにしても蒔寺氏の体力の底が見えない、とふたりは顔を見合わせた。

 ようやくやっと丘の上にたどり着くと、例の岩のような二人と枯れた老人、
そして青い目の若い女性が何やら立ち話をしているらしい。

 ふたりは言峰親子。父、言峰神父は「聖堂教会」というカトリックの一派に属する司祭で、
名前は日本人だが、日本を感じさせない大きな体をしている。息子の璃正を連れ、世界各地で
巡礼と修行を重ねる求道の旅を繰り返しているのだという。

 一人は話題の人、間桐臓硯老人である。
大豪邸の主だが、どんな仕事をしているのか、また何歳なのかも定かではない。

 無論、魔術による暗示がなされているのだが、それでも謎多き老人を敬遠する者は
この冬木では珍しくないが、蒔寺氏にとっては上得意客のひとりであり、付き合いもある。

 最後のひとりの姿を認めて、蒼星石と翠星石の表情は凍る。
魔術協会に所属する”ガンド使い”の女魔術師、のちの遠坂時臣氏の外祖母である。

 会話はフランス語(この時代では英語よりフォーマルな言語)であり、蒔寺氏には
判断できなかったが、この時、聖杯戦争の今後の方針に関して、呆れるほどの
美辞麗句を尽くして話し合っていた。



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