過去ログ - 【聖杯戦争】やる夫はステゴロワイヤーアクションで戦うようです
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◆ylCNb/NVSE
2012/09/02(日) 00:32:56.18 ID:7ShsGcqB0
「やる夫、そろそろお昼にしない?」と工房の外で真紅が声をかける。
実際、すでに昼食を取るには、かなり遅い時間帯だ。
「し、真紅さんですかお。ほら、頼まれた薬できてるお。」
そういって戸をわずかに開けるとやる夫は小瓶に入った軟膏を手渡した。
「胸の傷も、これを使えば跡形もなく消えるはずだお。」
戸の向こう側から新しい魔術礼装の説明をしようとするやる夫の言葉を遮って、
真紅はもう一度、工房から出てきて、昼食を取るように勧めた。
「いったい、何があったって言うの?」
真紅はやる夫に声をかけた。やる夫の女性への反応は普通ではない。
帝国陸軍から逃げる時は普通にしていたが、次第に真紅を避けるようになったのだ。
思い当たる節がないでもない。
英霊は突き詰めれば”一度死んだ人間”だ。英霊が真名を隠す理由が生前の死や
破滅に関わるトラウマを知られないようにするためであることは間違いない。
これまでの一週間、やる夫は彼が属する伝承における様々な発明者であることは明かしても、
その真名を、マスターのやらない夫や仲間の真紅やできる夫にさえ明かしていない。
それでも、民宿に出入りする女性や自分を避ける様子から真紅は、
やる夫が”女を苦手にしている”と、薄々感づいていた。
「誰も貴方を取って食べたりしないのだわ。」
真紅が粘り強く説得すると、やる夫はいやいや工房を出た。
やる夫自身の話では彼が生まれた時代は当然、彼が火の起こし方を発明するまでは
魚や鳥を生肉のままで食べていたという。それが酷く屈辱的で、火が手に入った時は、
やる夫を皆が讃えて、喜んだことは忘れられないという。
魚の刺身は日本に限らず、元来は古代の様々な地域に散見された。
しかし多くの文明は生のまま魚を食べることを、やはり嫌うようになり、
何より調理しないということを、非文明的、野蛮と感じるようになって次第に廃れていった。
だが、日本の刺身は洗練されたひとつの文化として認めて良いレベルになっている。
「一見、ただ生の魚をスライスしただけの粗末な料理だが、これはどうだお。」
「気に入った?」と真紅が尋ねると嬉しそうに口に運んだ。
「新しいものを作らなくても、改良する余地を探せばやる様はあるものだお。」
でも、この刺身を作った包丁は、貴方の作った火を使って作ってるのよ?
貴方が火の起こし方を考えて人々に広めなければ、この料理は生まれなかったわ。と真紅は笑った。
火と糸。どちらも世界中のあらゆる文明の起点となる発明だ。
やる夫がそれを本当に歴史上で、最初に発明した英霊かどうかはともかく、
このふたつの発明者という伝承を持つ英霊というのは大きい。
英霊の伝承は派生が多ければ多いほど、その原点は強力になる。
いわばやる夫は全世界の英霊のすべての宝具、伝承の原典であり、最古の人類の伝承を持つ英霊。
本来であれば「神霊」に当たる英雄で、聖杯の力を持ってしても召喚できない英霊である。
何故なら神は死なない。死んでいない者は聖杯といえどもクラスを与えてサーヴァントにはできない。
つまり彼は、彼の時代では一番の英雄のはずだ。そんな彼が死んだとすれば、その原因は何?
女が関わっているとすれば、この異常な嫌がり方も頷ける。
火のない時代に火をもたらした英雄。間違いなく皆から尊敬され、慕われたはずの彼が、
想像もつかないが、破滅したその原因が女だというのなら。
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