5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/08/29(水) 23:51:56.71 ID:x68eWxlN0
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お姉ちゃんと一緒に登校しなくなったのは、いつからだっただろうか。少し焦げたトーストに、薄くマーガリンを塗りながら私はふとそんなことを思った。
テレビは今、つけっぱなしにしていったお姉ちゃんが嫌いらしい可愛らしい動物の話題だった。昨日パンダの赤ちゃんが生まれたというニュース。
それを横目にトーストを齧り、頭の中でもう随分と前のように感じる記憶を引っ張り出す。
幼稚園の頃は毎日のように手を繋いで歩いていた。
お姉ちゃんが先に小学校に入学して私が追いつくまでの二年間以外、小学校でも一緒に登校していたような気がする。だったらきっと、母親が亡くなったその後くらいからだ。
最初のうちは、少し寂しかった。けれどいつのまにか、それでいいと思うようになった。それが普通であり、そしてなにより仕方がなかったのだ。
妹「きみわるい、もんなあ」
呟いた声は、ちょうどニュースの変わり目の一瞬の間の沈黙で、紛れることはなく一層重く響いた。
すぐに「次のニュースです」というアナウンサーの声がしたけれど、その一瞬の重量だけが私の中にぽつんと残った。
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