131: ◆WNrWKtkPz.[saga]
2012/09/01(土) 19:43:10.42 ID:Jx7J5FwY0
他に手に入ったのは飲料水とカンパン、そしてスタンガンである。
この水とカンパンは2人で分ける者では無く個人で自由に使っていいというもので、悠奈も了承済みである。
恐らくこのゲームでは食糧問題が生じてくると私は想定している。
キューブが手に入らなければ食糧と水が手に入らない。
食糧と水が手に入らなければ体力が回復しない。
体力が回復しなければ動きが鈍くなり、クリア条件を満たしにくくなるし、最悪死に至る可能性だってある。
できるだけ食糧は節約して使っていこう、と悠奈とは話をつけている。
そして次に、新たに手に入った武器がスタンガンである。
護身用に、と悠奈が私に渡してくれたものだ。
彼女はきっと、スタンガンなどなくとも敵を追い払うことができる自信があるのだろう。
確かに足や腕を見ると、とても引き締まっているので身体能力は高いのだろう。
「……そういえば、悠奈のクリア条件はなに?」
「ん……そういえば教えてなかったわね。お互いに教え合う?」
「うん」
悠奈だからすんなり協力してくれると思って聞いてみたが、やはり思った通りだった。
「私のPDAはJ。クリア条件は最終日まで生存する事よ」
彼女のクリア条件は、特に戦闘する必要は無く隅で静かに過ごしていれば満たせる条件だった。
「私はJOKER。クリア条件はPDAの特殊機能を3つ永久に無効化する事」
「ということは、あなたの特殊機能はPDAの特殊機能を無効化するもの、かしら?」
「…………ぁ」
そういえば、私のクリア条件は特殊なものであるため、クリア条件を聞いただけで容易に推測できてしまうのだった。
「私のも教えるから、お相子にしましょ? 私の特殊機能は半径1m以内のPDAを使用不能にする、よ」
そう聞いた瞬間に、私は目をギョッとさせながら悠奈から離れた。
「そ、そんなに警戒しなくてもいいじゃない! 私は別に瀬奈のPDAを使用不能にする気は無いわ」
「……ごめんなさい、反射的に」
よく考えれば悠奈が私のPDAを使用不能にするチャンスはいままでいくらでもあったのだ。
それでしていないという事は、彼女の言っている事は信用してもいいだろう。
「いいのよ、別に。それで、瀬奈のPDAの特殊能力は?」
「私のPDAの特殊能力は、プレイヤーに手で接触している状態の時、該当者のPDAの特殊能力を永久に無効化させることができる」
「なるほどね……“永久”というのは、ちょっと怖いわね」
「私も悠奈に使う気はない、いまは」
「そうして貰えるとありがたいわ。この特殊機能を失ったら、もしかすると…………」
「もしかすると?」
「……いえ、なんでもないわ。それより、そろそろお腹が空いてきたから、お昼にしない?」
「……うん」
やはり、悠奈は何かこのゲームの核心について知っているかもしれない。
しかし私は特に問い詰めることなく、質素な食事をすることにした……。
923Res/412.61 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。