204: ◆WNrWKtkPz.[saga]
2012/09/04(火) 13:03:36.06 ID:WFNZXnLz0
「私も手伝う」
悠奈の時と比べて修平の言っている事が真逆になっているのだが、それは相手が“吹石琴美”だからであろう。
修平の取って悠奈はあくまでもこのゲームで出会ったばかりの他人なのだが、吹石は幼馴染且つ恋人関係という重要な人なのだ。
彼女と共にこのゲームをクリアしたいと思うのは必然の考えである。
「瀬奈ちゃん、ありがとう……」
「…………」
吹石が近寄って手を取って来るが、私は彼女に目を合わせることなく手をサッと振り払った。
「取りあえず、夜が明けるまでここでじっとしていよう。琴美は食糧を持っているのか?」
「それが、荻原さんに預けたままだったから……」
「そうか、俺達はかなり余分に持っているからそれを食べてくれ」
「え……いいの?」
「瀬奈、いいよな……?」
私は黙ったまま頷いて、吹石にリュックから取り出した食糧と水を手渡した。
「…………ありがとう!」
私は突然吹石に抱き寄せられてしまい、反射的に振り払おうとしていたが……泣いている彼女に手出しをする事は出来なかった。
久し振りに人の温もりを感じた気がした――
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