405: ◆WNrWKtkPz.[saga]
2012/10/25(木) 22:10:54.70 ID:HZSjt34F0
ここは待っているかりんのほうへ逃げるべきだろう。
少なくとも矢幡に、僕らが抵抗してくるという意識を植え込ませることはできた。
こうなると、向こうも迂闊にはこちらを追いかけてはこれなくなるはずである。
僕の足音に反応したのか、矢幡は後ろから拳銃を撃ってくるが20メートル以上も離れているので全く違う場所へ銃弾は遁で行っていた。
拳銃は3メートルも距離を取れば、動いている相手に対しての命中率はぐっと下がるため、無作為に走り続ければまず当たる事は無い――
すると向こうもこれ以上は無意味だと悟ったのか、姿を消してどこかへ行ってしまった。
「…………祐司、大丈夫なの!?」
「それより、万が一のことを考えてもう少し距離を離しておこう」
「うん!」
僕たちは再襲撃を防ぐために再び走り始めた…………。
――――――
――――
――
「はぁ……はぁ……ここまでくれば、大丈夫だよね?」
あれから5分くらい矢幡から距離を離した僕たちは、ようやく立ち止まることを許された。
「向こうは慎重派みたいだし……そうそうは追って来ないと思うよ」
初めての命のやり取りに、僕の心臓の鼓動は高まったままだった。
あの間に、僕、かりん、そして矢幡の誰かが死んでもおかしくなかった。
そう考えるだけで、いかに恐ろしいことだったかが分かる。
「麗佳さんは……もう、覚悟ができているんだよね」
かりんは悲しそうな顔をして、そんな言葉を口から漏らす。
「一時と言っても……一緒に行動していた人に襲撃されたのが、ショックだった?」
「…………うん」
僕には矢幡と言う人物が何なのかは分からないが、かりんにとってすれば辛い事だろう。
知り合いが容赦無く引き金を引き、殺しにかかってきたのだから――
「…………」
僕は紙コップに水を入れてかりんの前に置いた。
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