過去ログ - 奉太郎「守りたいもの」
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2: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 22:19:48.43 ID:y3939tJH0
 千反田えるは好奇心の亡者である。

 俺は千反田との、僅か一年足らずの部活動を通して、早くもそれを実感している。学校の七不思議然り、氷菓事件然り、合宿での幽霊事件然り、その判断材料には事欠かない。帰納法的に正しいと言えるだろう。
 だが、帰納法は所詮経験則でしかない。千反田にも好奇心が発揮されない不思議があると考えるのが当然だろう。かつての経験則より、人を容易く判断することに対して俺は慎重だ。決して二度と同じ轍は踏むまいと心に決めている。

 誰にだって裏と表がある。見えているものだけで判断するのは、七つの大罪を犯している。
 しかし、そこまで考えてなお、俺は千反田に裏があるのか懐疑的だった。いや、確かに千反田はわかりやすいやつではあるのだが、実際のところあいつは自分の感情を表現するのがそれほど得意ではないらしい。

 もし千反田の隠された一面、知られたくない一面があるとしたら、それはどういう類のものなのだろうか。

「ホータローが他人の心情を考えるなんて、どういう風の吹き回しだい?」

 鞄でもトートバッグでもない、布の袋としか言えないブツを振り回しながら、里志は言った。



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