20: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 15:28:26.69 ID:kQdfAHEF0
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次の日、また生徒が襲われた。またも女子生徒で、塾からの帰り道をやられたという。
二人目、しかも連日でとなると、ちょっとした騒ぎどころでは済まない。記者は取材に来るし、全校集会もあった。警察も聞き込みに来ていたらしい。
「物騒ですね……」
放課後の部室で千反田は言った。それは確かにその通りだ。明日は我が身、と言う可能性も十分ありうる。
伊原は図書委員、里志は手芸部でいない。部室には俺と千反田だけがいる。
この時期になると夕暮れは早い。下校時刻にはすでに辺りは宵闇に包まれている。地面も雪にすっかり埋もれてしまっているため、気を付けなければすっ転んでしまう。
「歩きだと家までどれくらいかかるんだ?」
「えぇ、そうですね、大体三十分から四十分くらいだと思います」
「結構遠いんだな」
思い出せば、前に行った際も自転車を使ってそれなりにかかった気がする。
「はい。ですから、これで」
千反田は銀色の携帯電話を俺に見せた。ストラップすらもついてない、味気ない携帯電話だ。
今はちょうど農閑期だ。豪農千反田家と言えども、この時期はある程度まったりしているのかもしれない。俺がそういうと千反田は苦笑して、
「結構みなさんそうおっしゃるんですけど、逆なんですよ。この時期は他の寄合に顔を出したり、農協があったりで、忙しいくらいです」
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