27: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/05(水) 16:16:33.36 ID:kQdfAHEF0
「納得できないか」
「あ、いえ! 決してそういうわけでは……。ただ、特別棟の二階以降か、一般棟の一階にある用事とは、どんなものなのか気になっただけで」
俺は目を瞑って後者の見取り図を思い出す。特別棟は下の階まできっちり部室になっている。もしかしたらいくつか空いている部屋もあるのかもしれないが、俺は知らない。
一般棟は一階に事務室、玄関、校長室、会議室、保健室、図書室、用具庫、宿直室くらいか。里志の用事があるのだとすれば、保健室か図書室、だろうか。
俺はその時はっとした。一連の里志の行動の理由を、なんとなく理解してしまった気がしたのだ。
伊原は図書当番があるというので来ていない。里志は手芸部の活動があると言っていたが……。
「なぁ千反田」
「はい、なんでしょう」
「伊原の家、お前、どこにあるか知ってるか?」
「存じ上げませんね。私の家と同じくらいの距離だとは聞きましたが」
ということは、三十分から四十分程度かかるということか。暗い中を歩いて、一人で。
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもない」
「折木さん」
千反田の大きい瞳が俺のほうを見ていた。
やばい。これは、なんというか、やばい。
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