5: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 22:23:05.06 ID:y3939tJH0
「お前は用事はないのか?」
総務委員会と手芸部を古典部の他に掛け持っている男だ。おいそれと暇になることがなさそうなものだが。
俺の心理を読んだのか、里志は口角を上げてニヒルに笑う。全く青瓢箪には似合っていない。
「ホータロー、暇つぶしのために用事を入れるのは、僕にとっては本末転倒ってものだよ。僕は楽しむためにのみ楽しんでるのさ。暇も込み込みでね」
「そういうもんか」
「それに、総務委員会は雑務こそあれ、時間をとるほどの議題はない。手芸部は、どうも最近人の集まりが悪くてね」
外靴を履くと、里志が自転車小屋のほうへ向かっていく。
「雪もあるのに自転車なのか」
「普段は歩きだけどね。タイヤを新調して冬用にしたんだ。初乗りの心地よさを味わいたくって」
実にバイタリティ溢れることである。この辺、どうも俺と里志は相容れない。まぁお互いの主義主張を押し付けあうわけでもなし、問題はない。
俺は里志を待つことなく校門へ向かう。
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