8: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2012/09/03(月) 22:28:44.70 ID:y3939tJH0
新刊の期待もほどほどに、平積みされた本の山に視線を通していく。店内にはポップや店員からのおすすめ紹介などがひしめいていて、実に自己主張の強い場となっていた。
躍る惹句は「春休みの読書感想文にどうぞ! 名作文庫フェア」を筆頭に、学生の長期休暇にちなんだものばかりだ。
他に目につくのは映画化の紹介や万引き防止を促す張り紙。しかし俺が見たいのはそれではなく、今月の新刊一覧である。
結果から言えば、今月は俺の購読している漫画は、新刊が出ないようだった。とはいえすぐに帰るのも何なので、少し店内を散策する。
小説、漫画、雑誌。たまに誰が買うのだか見当もつかないものがある。マッチ棒造形の専門誌などはどのような層に売れるのだろうか。
里志のような人種が何人もいるのだとすると、外の世界はあまりにも広いのかもしれない。
五分ほどそうして、出入り口へと足を向ける。一週間後くらいにまた来てみようか。
と、入り口の自動ドア、その影に落ちている何かに気がついた。携帯電話である。
しゃがんで手に取れば、確かにそうだ。白と黒のツートンカラーで、スライド式の携帯電話。麻雀牌の『西』がストラップでついている。なぜこんなものがここにあるのだろうか。
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