過去ログ - オッレルス「安価でフィアンマと」上条「恋人になりたい」
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[saga]
2012/09/05(水) 00:11:27.80 ID:NOIll0qL0
『グレムリン』との問題は、ひとまず片付いた。
もしかしたら残党が何かまた仕出かすかは不明なものの、ひとまず安全な情勢となり。
戦闘中の流れで学園都市から追われる立場、しかも捕まってはただでは済まない状況に陥った上条は、ひとまずオッレルス家に居候する事にした。
ほとぼりが冷めるまで、ということで。上条の事は気に入ったのか、シルビアから許可も出た。
というよりも家主はオッレルスなので、彼が許可を出せば基本的には問題無し、なのだが。
上条「……」
ここ数日酷い風邪を引いて寝込んでいた上条は、沈黙していた。
もう完治しているのだが、ここ数日の出来事を思い返しているのだ。
別に何か作業をしている訳でもなく。強いて言えば床掃除しながら。
上条が思い出していたのは、熱で苦しむ自分を献身的に看護していた、隻腕の青年の事だ。
自分の右腕を狙い、様々な危険に遭わせてきた青年は考えに歪みこそ生じていたが、性根がそんなに悪い訳でもなく。
腐っても聖職者か、自分で言うのも何だが彼の命を救ったからか、青年は丁寧に上条の世話をした。
此処に来たばかり、右腕が潰された時も、看護していたのは彼だったと後に聞き。
憎みこそしていなかったが、ある程度嫌っていた筈だったのに。上条当麻は、いつの間にやら。
上条(…どう、すっかな…)
性別こそ気にしているが、青年―――右方のフィアンマと呼ばれていた彼に、恋愛的好意を抱くようになっていた。
看病してくれていた時の優しさに惚れたのか、或いは中性的とも呼べる顔立ちに惹かれたのか、判断はつかず。
ただ漠然と、これが恋なのだと、上条は自覚してしまった。
上条(いや、何でだよ…)
一度記憶を喪った上条にとって、他人に恋愛感情を抱く(=初恋)はフィアンマが初めてだということになる。
せめて、せめてフィアンマが女性だったのなら、上条とて多少気分は晴れるのだが。
上条「…不幸だ」
それでも。
フィアンマ『…熱は、…少し、下がったか』
フィアンマ『無理に声を出す必要は無い。喉はまだ痛むだろう?』
心から安堵したような、柔らかな微笑みを思い浮かべてしまえば。
嬉しそうな声音に、白くて冷たい、心地の良い細い指先を、浮かべれば。
上条「……はー」
やっぱり、好きなのである。
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