906: ◆Oe72InN3/k
2012/09/29(土) 22:47:47.44 ID:CobecYnF0
〜折木家〜
時刻は既に、20時を回っている。
だがどうにも俺は、行く決心が付いていなかった。
……会えば、そこで終わってしまう。
なら会わなければ?
それもまた、終わってしまうだろう。
なら……なら俺はどうするべきなのか。
そして果たして、俺が千反田に会いに行く事で……あいつは幸せになれるのだろうか。
その事が一番、俺を引き止めていた。
俺が最後の約束を破り、千反田に嫌われてしまえば……そっちの方が、あいつにとっては良い事なのかもしれない。
……ああ、そうか。
あの時の千反田は、こういう気持ちだったのか。
あいつは俺に嫌われたかったと言った事があった。
その気持ちは、今の俺には痛いほど良く分かる。
……理解するのが、遅すぎた感は拭えないが。
そんな事を自室のベッドの上で考えていたとき、急に扉が開いた。
供恵「電話よ、里志君から」
奉太郎「……せめてノックしてから開けろ」
供恵「それはそれは、申し訳ございませんでした」
そんな冗談を言っている姉貴から受話器を奪い取り、耳に当てた。
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